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> BEAUTY 57号(Vol.7 No.5, 2024)
美容皮膚医学BEAUTY 第58号(Vol.7 No.6, 2024)
A4変型判/96頁
定価4,400円(本体4,000円+税10%)
ISBNコード:978-4-287-91058-0
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特集
●肌質を改善する―ハリ,ツヤ,テクスチャー―
企画編集/谷 祐子
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今,美容皮膚科の領域では,美しい肌を作るための“美肌治療”や肌を育てるための“肌育治療”に注目が集まっています.そもそも肌は顔の大半を占めるため,肌が美しいことは顔全体の印象に大きく影響します.また,年齢や性別にかかわらず,美しい肌は健康を反映するので,潤い・ハリ・弾力・ツヤのある肌が求められます.
さて,美容医療の業界において肌質そのものを表す用語としてハリ,ツヤ,テクスチャーなどがありますが,これらは実際にどのような肌状態を示しているのか,改めて考えてみましょう.ハリは,肌の健やかさを示す指標であり,コラーゲンやヒアルロン酸などの肌の弾力をつくる細胞外マトリックスがしっかりあり,真皮の状態が良好な状態です.ツヤは皮脂と水分のバランスが取れた状態で,潤いや透明感がみられる肌の状態を示し,角質層が健康であることを意味します.またテクスチャーとは,キメが整っているか,ざらつきがあるか,すべすべでもちっとした密着感があるかなど肌の見た目と触感を表しています.また,もともとの皮膚疾患がなくても,エイジングの影響で角質,表皮,真皮および皮下組織の各層でさまざまなトラブルや変化を起こします.具体的には,シワ,たるみ,シミ,赤ら顔などです.
肌質改善を目的とした治療とは,線維芽細胞を活性化させ,コラーゲン,エラスチン,ヒアルロン酸などの細胞外マトリックスを増生することであり,その結果,真皮のリジュベネーションにつなげることなのです.そして,表皮〜角質層のターンオーバーを正常化させることで保水力が高まり,キメの整った肌が得られるのです.
つまり,肌質改善治療とは,角質層から真皮に至るわずか4ミリの皮膚が健康的に整っている状態を目指して治療することなのですが,私たち専門家は,どの層にどのような問題があるかを診断したうえで,適切な治療を選択していく必要があります.
今回の特集では,このような観点に基づいて,より進化した美容機器やスキンケアセラピー,光や超音波などの機器による治療,マイクロニードリング(スキンニードリング),メソセラピー,ヒアルロン酸やECM製剤などの注射療法,スレッド治療,内科的治療などさまざまな角度から肌質改善を目的とした最新の治療方法と知見について各分野の専門家の先生方にご執筆いただき一冊にまとめることができました.明日からの診療にぜひ役立ていただき,美容医療のさらなる発展につなげていただければ幸いです.
谷 祐子
(広尾プライム皮膚科 院長)
1.キメと質感―スキンケアからのアプローチ―/曽山聖子
2.ハイドロキノン・トレチノインによる美肌治療/佐藤 薫
3.ボツリヌストキシンによる肌質改善/奥村千香
4.肌質を改善するためのケミカルピーリング治療/木村有太子
5.侵襲性の低いDDS治療:エレクトロポレーションおよびマイクロニードリングについて/坪内利江子
6.スキンニードリング/川添 剛
7.美容機器による肌質改善/今野みどり
8.光治療による肌質改善/原 かや
9.超音波機器による治療/奥 謙太郎
10.ショートスレッドによる肌質改善/先山 史
11.肌質改善のためのヒアルロン酸治療/今泉明子
12.ECM製剤,その他注入製剤による肌質改善の実際/梁川厚子
13.血小板由来成長因子によるメソセラピー/谷 祐子
14.サプリメントと点滴療法/溝口 徹