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CIRCULATION 10月号
月刊循環器 CIRCULATION 10月号

2011年9月5日発売
A4変型判/120頁
価格:本体2,500円+税
ISBNコード:978-4-287-83002-4

特集循環器治療薬の選択と適正使用

企画編集/小室一成
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目次 特集 特集 特集
 日本において,患者数は約4000 万人と推測される高血圧は,きわめて高頻度な疾患であるが,そのうち本態性高血圧症は90 〜95%を占める.本態性高血圧症は,その成因に遺伝因子・環境因子(食塩摂取,肥満など)がほぼ半々で関与する.本態性高血圧症では,脳血管障害,心疾患(心肥大・心不全・虚血性心疾患),腎障害,大動脈瘤など,重篤で,ときには致死的な合併症を派生する.
 高血圧治療の目的は,脳卒中,心臓病を中心とする心血管病など高血圧性合併症の予防にあり,そのために血圧を厳格に管理する必要がある.高血圧管理には,高血圧治療ガイドラインが有用であり,日本では日本高血圧学会の『高血圧治療ガイドライン(JSH2009)』が2009 年1 月に発表されている.高血圧治療の目的を達成するためには,まず降圧目標までしっかり血圧を下げることが必須である.臓器障害がない場合には,降圧によりその予防を,臓器障害を有する場合には,降圧により合併する疾患の治療あるいは進展防止を目標とする.また,降圧に加えて,薬剤ごとに臓器保護効果が期待されるため,各降圧薬の特徴も把握して,降圧薬を選択する.
 日本における第1 選択薬の降圧薬として,JSH2009 ではエビデンスの示されている5 つのクラスを示している.すなわち,カルシウム拮抗薬,ARB,ACE 阻害薬,利尿薬,β遮断薬を用いて降圧を図るが,積極的な適応に示される合併症や病態には,示唆される個々の降圧薬を用いることが推奨される.降圧薬の選択は,基本的には積極的適応と副作用・禁忌の両面より患者にあわせて行うことになる.そのような背景にあてはまらない場合には,レニン,体液量,年齢,性別などの要因を考慮して降圧薬を選択する.一方,危険因子や合併症の状況で,1 層,2 層,3 層に分けられ,高血圧の重症度は,血圧の病期とリスクの層との組み合わせにより低リスク,中等リスク,高リスクに分類される.高血圧の治療は,リスクの層別化による分類を参考として,生活習慣の改善から薬物療法まで含めて開始される.
 高血圧かどうかの判定は外来随時血圧で行うことになるが,診察時血圧が正常でも,家庭で血圧が高い場合は仮面高血圧となり,心血管系イベント発症率は持続型高血圧と同様となる.その場合は,24 時間にわたる血圧管理が必要となる.一方,血圧が病院では高くても家庭では正常な白衣高血圧についても十分に留意して,過剰治療による過降圧は避けなければならない.血圧管理については,判断・フォローいずれにおいても,随時血圧のみに頼ることなく,家庭血圧,24 時間血圧測定を推奨し,応用する.このような治療の基本方針のもと,具体的な治療に入ることになる.
 本特集においては,心血管病予防のための高血圧対策戦略について,まず疫学の面から紹介する.次に,高血圧判定における家庭血圧の意義について,仮面高血圧や早朝高血圧を含めて詳述する.そして,心血管疾患予防のための高血圧治療戦略をJSH2009 の立場から総論的に紹介する.さらに脳・心(冠動脈疾患,心不全)・大血管疾患の病態と予防,そしてそれらを合併した時の高血圧治療についても,各々専門家より解説する.高血圧の治療目的と具体的な方法について,最新の情報をもとに統括的に理解,把握できるよう企画したつもりである.ご活用いただければ幸いである.
企画編集:小室一成
大阪大学大学院 医学研究科 循環器内科学
特集
1.狭心症における硝酸薬の使い方/下川宏明 他
2.虚血性心疾患患者にβ遮断薬は適正に使用されているか/芦田和博
3.虚血性心疾患にCa拮抗薬は有効か/住吉徹哉 他
4.PCI後抗血小板薬の使い方/木村 剛 他
5.心不全に対するRAS抑制薬の使い方/和泉 徹 他
6.心不全に対してどのβ遮断薬をいつからつかうか/安村良男
7.心不全に対してどの利尿薬を使うか/山岸正和 他
8.心不全に対するANPの使い方と有効性/齋藤能彦
9.急性心不全に対する強心薬の使用法/坂田泰史
10.期外収縮,心房細動に抗不整脈薬をどう使うか/相澤義房 他
11.心房細動のレートコントロールにはなにを使うべきか/青沼和隆 他
12.心房細動の抗血栓療法にはどのような薬を使うか/奥山裕司

座談会:
わが国のメタボリックシンドロームの増加と高齢化に向けての血圧管理の重要性
(日本ベーリンガーインゲルハイム株式会社/アステラス製薬株式会社・提供)