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CIRCULATION 12月号
月刊循環器CIRCULATION 2月号

12年1月10日発売
A4変型判144頁
価格:本体¥2500+税
ISBNコード:978-4-287-83006-2
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特集循環器疾患とCKD〜そのつながりを読む〜

企画編集/筒井裕之
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目次 特集 特集 特集
 心臓と腎臓という生体にとってきわめて重要な2つの臓器は,血行動態や神経体液性因子を介して密接に関連しており,両臓器の機能はきわめて精巧にバランスをとりながら制御されている.近年,心臓と腎臓が生理的状態のみならず,病的状態でも相互に関連しあって病態を形成していることが明らかとなり,「心腎連関」という概念が提唱されるようになった.このような心・腎の連関が改めて認識されるようになったのは,多くの疫学研究や大規模臨床試験の解析により,慢性腎臓病(chronic kidney disease;CKD)が強力かつ独立した心血管リスクであり,CKD患者は末期腎不全から透析に至るよりも,心血管病を発症して死亡するリスクのほうが高いことが認識されるようになったことによる.
 一方,心疾患患者の予後は腎機能の影響を受け,最終的には心・腎不全に至る.さらに,高血圧・糖尿病・脂質異常症などの生活習慣病とともに,CKDの患者数はきわめて多いことも明らかとなっている.このことは,循環器内科医が心血管病の診療において,CKDを狭い腎疾患ととらえることなく,心血管リスクとして診療にあたる必要があることを示している.すなわち,心・腎に共通する病態生理の理解,診断のための検査,腎機能保持を念頭に入れた心血管病の治療,心血管合併症を考慮したCKDの治療が求められる.しかしながら,心・腎に共通する基礎的病態や心腎保護を目指した治療戦略など,そのつながりに関する理解は十分とはいえない.
 本特集では,心血管病とCKDを理解するために必要な知識を,I. 疫学と成因としてのレニン・アンシオテンシン・アルドステロン(RAA)系,プロレニン受容体,酸化ストレス・NO,腎血流に着目し,II. 病態については高血圧,脂質異常症,冠動脈疾患,心不全を取り上げ,III. 治療では利尿薬,RAA系抑制薬,β遮断薬,スタチン,経口吸着薬,エリスロポリエチンというテーマについて,循環器病学と腎臓病学の2つの領域の第一線の専門家に執筆いただいた.本特集が循環器内科医はもちろんのこと,幅広い分野をカバーする内科医にとって,循環器疾患とCKDのつながりのさらなる理解の助けとなれば幸甚である.
企画編集:筒井裕之
北海道大学大学院医学研究科 循環病態内科学 教授
I.疫学と成因
1.日本におけるCKDの現状/清原 裕 他
2.レニン・アンジオテンシン・アルドステロン(RAA)系/堀内正嗣 他
3.プロレニン受容体/市原淳弘
4.酸化ストレス・NO/柏原直樹 他
5.腎血流/伊藤貞嘉
II.病態
1.高血圧/木村玄次郎 他
2.脂質異常症/野出孝一 他
3.冠動脈疾患/代田浩之 他
4.心不全/絹川真太郎 他
III.治療
1.利尿薬/大屋祐輔 他
2.RAA系抑制薬/斎藤能彦
3.β遮断薬/百村伸一
4.スタチン/倉林正彦 他
5.経口吸着薬/丹羽利充
6.エリスロポリエチン/増山 理 他