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月刊循環器CIRCULATION 6月号 SOLD OUT |
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12年5月7日発売
A4変型判112頁 価格:本体¥2500+税
ISBNコード:978-4-287-83010-9
全ページカラー印刷
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企画編集/新 博次 |
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画像をクリックするとサンプル(PDF)をご覧いただけます |
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心電図は19 世紀末のEinthoven の偉業以来,120年の歴史がある検査法である.心電図の普及とともに循環器疾患の診断精度は高まり,今日では循環器疾患の診断には必須の臨床検査となっている.一般臨床の場においても多岐にわたって利用され,普遍的かつ世界共通の診断手法といえる.しかし“ルーチン”の検査であるが故に,記録をすることのみに目が向けられ,その詳細については意外と議論される機会が減少しているように思われる.
循環器専門医のみならず,その他の領域を標榜する実地医家の施設においても心電計のない施設はなく,医療現場では必需品として利用されている.1枚の心電図から得られる情報は,他の検査法では的確に表現できないものもあり,ときには心臓周辺の環境の変化までをも指し示してくれる.また心電図の利便性として,経時的に変化する病態の変化を観察するのにも適しており,この点については他の臨床検査法と比較しても卓越している.さらに心電図検査の価値を高めているのは,今日においてもさらなる新知見がもたらされていることである.
その事例を挙げると,1992年にはBrugadaらにより心筋梗塞を思わせるST上昇を認める症例で,器質的な心疾患がないにもかかわらず突然死する症例があると報告された.今日ではBrugada 症候群として広く認知されるに至っているが,このST上昇については,すでに40年前の1952年に同様な心電図所見が学術誌に報告されている.その報告では,数年にわたる経過観察の結果,その心電図所見は経時的に自然変化し,その間,特記すべき事項は認められてなかったことが記載されており,当時は正常亜型であると考えられた.
他にも,同様にこれまで見逃されていた心電図所見が一躍脚光を浴びた例として,J波がある.多くの循環器専門医の記憶にまだ新しいと思われるが,2008年のN Engl JMed誌に掲載された「Sudden cardiac arrest associated with early repolarization」と題した報告である.これは,心電図のQRS終末部のJ点のnotch あるいはスラー様のST上昇を認める心電図所見を有する症例では,突然死するものが多いとする説である.これまでJ波として認知はされていたものの,このJ波そのものの有無が突然死のリスクを示唆するとなれば,これまで「正常」あるいは「異常なし」と判定されてきたかなりの人々が,その生命予後を心配しなくてはならなくなる.これまでJ波,あるいはOsborn波として知られていた波形は,低体温などの生理的条件により増大し,ときに心室性不整脈を発症させることは知られていたが,約20年前には,すでにこのような心電図学的特徴を有する症例で心室細動をきたすことが日本から報告されていたことが思い出される.
最近では日常診療において,より目新しい手技や診断法へと興味が向けられる傾向にあるが,12誘導心電図には,まだ十分に解明されていない重要な所見が埋没している可能性がある.それに気付き,症例を集積して新たな心電図所見として報告できることは,心電図検査の普遍性を考慮すると,その価値は非常に高いものになると思われる.
本特集では,このような視点から心電図情報の最新の情報を解説していただいた.読者には,ルーチン検査として実施されている心電図から,循環器専門医たる存在を示すためにも病態の鑑別力を高めて頂ければ幸いである.
企画編集:新 博次
日本医科大学 多摩永山病院 院長
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1.心電図でここまでわかる急性冠症候群の病態/小菅雅美 他
2.非ST上昇型心筋梗塞の心電図診断ポイント/宮内克己 他
3.心電図からみた非虚血性ST変化と無症候性虚血/草間芳樹
4.左室肥大と心筋症は心電図診断でどこまで読めるか/山科 章
5.肺高血圧・肺塞栓の病態による心電図変化/山本 剛
6.心電図所見からの心房期外収縮による心房細動起源の推定/山根禎一
7.粗動波(F波)からの心房粗動・心房頻拍の鑑別/小林義典 他
8.心電図による心室頻拍の起源診断/青沼和隆 他
9.QT延長症候群の評価法とハイリスク症例の予測/栗田 隆 他
10.Brugada症候群の心電図診断とリスク評価/草野研吾
11.QT短縮症候群とその鑑別/池田隆徳 他
12.J波症候群と心電図による突然死リスク評価/野上昭彦 他
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訂正文
月刊循環器CIRCULATION 2012年6月号において,ご執筆者名に誤りがありましたので訂正いたします.
・p2 目次 1章「心電図でここまでわかる急性冠症候群の病態」
(誤)小菅正美
(正)小菅雅美
皆様にご迷惑をおかけしましたことを深くお詫び申し上げます.
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