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CIRCULATION 6月号
月刊循環器CIRCULATION 9月号

12年8月6日発売
A4変型判128頁
価格:本体¥2500+税
ISBNコード:978-4-287-83013-0
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特集心腎連関を考慮した利尿薬の使い方

企画編集/増山 理
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目次 特集 特集 特集
 利尿薬は循環器系薬剤としては最も古い薬剤のひとつであり,その効果のひとつは降圧である.サイアザイド系の利尿薬は,その降圧効果の強さから広く用いられていたが,カルシウム拮抗薬やアンジオテンシン変換酵素(ACE)阻害薬,アンジオテンシン受容体拮抗薬(ARB)など,強力で副作用の少ない薬剤が開発され,一時その使用頻度は低下していた.しかし最近,降圧利尿薬の有効性を実証するエビデンスが出され,また少量をARBに併用することにより,少ない副作用で強い降圧効果が得られることから,降圧利尿薬が見直されてきている.
 一方,心不全・腎不全・肝不全など種々の原因で起こる,浮腫をはじめとした循環血液のうっ滞症状の治療に際して,利尿薬はなくてはならない薬剤である.その効果があまりにはっきりしており,また必要不可欠な薬剤なだけに,利尿薬の有効性は単なる循環血液のうっ滞症状をとる効果の強さだけで評価されてきた.しかし最近になって,とくに心不全の治療薬として,カリウム保持性の利尿薬には慢性心不全患者の生命予後を改善する効果があることが実証され,重症心不全例を中心に広く使われつつある.一方でループ利尿薬については,投与量が多いほど心不全患者の生命予後が不良となることが大規模試験のサブ解析から明らかとなってきた.したがって,利尿薬の種類を工夫することにより,または利尿薬の投与法や投与量を工夫することにより,心不全患者の生命予後の悪化を食い止められないか,さらには予後改善が得られないかという期待が高まっている.
 ループ利尿薬を長く使っていると,だんだん効かなくなってくる.代用できる薬剤がないので,さらに増やすしかない.そしてまた効かなくなるから,増やす,の繰り返しである.そういう利尿薬抵抗性がみられる患者には,どのような対応がすすめられるか.多くの知見があるわけではないが,興味深い.さらには,新たな作用機序の利尿薬が発売され,今まで利尿薬では効果が不十分であった例においての期待も大きい.
 利尿薬の不用意な使用は,腎機能を悪化させる.これは腎血流量低下をきたすためである.また,腎機能は心不全をはじめとする心疾患の予後を規定する重要な因子であることもわかってきた.すなわち,たとえば高血圧症や心不全の患者に利尿薬を投与するときには,腎機能への影響を考慮しながら使わなければならないということである.これらの循環器疾患は高齢者に多い.高齢者においては腎機能低下例,または腎臓の予備能が低下している例が多く,利尿薬の使い方が重要となる.
 利尿薬は古くからある循環器疾患治療薬であるが,最近いろいろな意味で見直され,期待もされている.本特集では,とくに臨床実地での使い方を中心に概説いただく.
企画編集:増山 理
兵庫医科大学 内科学 循環器内科 主任教授
1.利尿薬の薬理・作用機転/伊藤貞嘉
2.利尿薬の腎機能への影響/内田俊也
3.利尿薬と電解質異常/笠原正登 他
4.降圧薬としての利尿薬単独の効果/檜垣實男 他
5.降圧薬としての利尿薬を使った合剤/長谷部直幸 他
6.降圧薬としてのカリウム保持性利尿薬/佐藤敦久 他
7.心不全治療薬としてのカリウム保持性利尿薬/山本一博 他
8.浮腫と利尿薬/百村伸一 他
9.ループ利尿薬の功罪/辻野 健 他
10.バソプレシン受容体拮抗薬/廣谷信一
11.利尿薬抵抗性(loop diuretic resistance;LDR)への対応/安村良男
12.利尿薬と低ナトリウム血症/猪又孝元
13.心房利尿ペプチドと造影剤腎症/坪井英之
14.高齢者における利尿薬の使用/伊藤 宏 他