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月刊循環器CIRCULATION 1月号 |
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12年12月25日発売 A4変型判104頁 価格:本体¥2500+税 ISBNコード:978-4-287-83017-8
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企画編集/代田浩之 |
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急性冠症候群の発症メカニズムは,これまでの多くの病理学的,分子生物学的そして臨床的研究により明らかにされてきた.すなわちプラークの破綻,プラークのびらんがその主要な原因とされ,さらに最近ではcalcified noduleも冠動脈血栓に関与していることが報告されている.その破綻やびらんには,プラークの線維性皮膜とリピッドコア,プラークの辺縁に存在する炎症細胞浸潤が血行力学的な影響を受けながら不安定化し,破綻につながること,さらにこの炎症にはマクロファージと泡沫細胞,Tリンパ球が相互に働き合い,matrix metalloproteinaseなどの蛋白溶解酵素と線維性皮膜の構成成分であるコラーゲンに加えて,局所の血栓形成性を促進する組織因子やPAI-1などが相互に影響し合って不安定化を形成していることが知られている.一方,この疾患が多くの生活環境因子に規定されるために,冠動脈疾患の関連遺伝因子の研究成果は最近まで比較的限られていた.最近では,whole genome association studyなど新しい解析手法の登場によって,より効率的な解析が進められている.大阪大学を中心としたOACIS研究では炎症にかかわる遺伝リスクの同定が進められ,急性冠症候群と炎症にかかわるリンフォトキシンの遺伝子多型など遺伝子疫学分野の研究が徐々に進行している.
臨床の場では,プラークの不安定化をどのように検出するかが大きな課題である.近年,急性冠症候群の診断法は飛躍的に進歩している.とく新しいバイオマーカーの開発と画像診断の進歩には目を見張らされる.新しいバイオマーカーには,心筋虚血を反映するTroponinやH-FABP,プラークの不安定化や炎症を反映する可能性があるPTX-3などさまざまなものが開発されている.しかしながら,新しいバイオマーカーの測定意義を確立させるためには,多くの対象を用いた臨床研究が引き続き必要である.
不安定なプラークを検出するためのイメージングは,冠動脈内視鏡,血管内エコーやOCTに代表される侵襲的な方法と冠動脈CTやMRIなどの非侵襲的なアプローチがすでに一般臨床で使われており,実験的にはプラークの炎症などをターゲットにした分子イメージングも開発されつつある.
治療と予防の観点からは,LDL-C低下作用と抗炎症作用を併せ持つスタチンが,プラークの安定化に最もエビデンスのある薬剤であるが,EPAやACE阻害薬,ARBなどにもプラークの安定化作用があることが報告されている.現在,新しい抗動脈硬化作用をもつ薬剤の開発も行われており,今後の臨床での応用が待たれる.
この特集ではこの分野の最先端の情報を13人の専門家にお願いして総括して頂いた.不安定プラークの病態と診断治療のさらなる理解のために,読者の一助になれば幸いである.
企画編集:代田浩之
順天堂大学医学部 循環器内科 教授
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1.不安定プラークの分子機構/相川眞範 他
2.不安定プラークの病理/上田真喜子 他
3.不安定プラークの遺伝子解析/坂田泰彦 他
4.不安定プラークとバイオマーカー/清野精彦 他
5.冠動脈CT と不安定プラーク/尾崎行男 他
6.不安定プラークの冠動脈造影所見/石綿清雄
7.不安定プラークの内視鏡所見と安定化/上田恭敬
8.不安定プラークの血管内超音波所見と安定化/小宮山伸之
9.不安定プラークのOCT 所見と安定化/赤阪隆史 他
10.不安定プラークと分子イメージング/玉木長良 他
11.スタチンのプラーク安定化作用/野出孝一 他
12.n-3 系多価不飽和脂肪酸とプラークの安定化作用/佐田政隆 他
13.レニン・アンジオテンシン系阻害薬のプラーク安定化作用および冠動脈動脈硬化へ影響について/廣畑 敦
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