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月刊循環器CIRCULATION 9月号 |
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13年8月26日発売
A4変型判104頁
価格:本体¥2500+税 ISBNコード:978-4-287-83025-3
全ページカラー印刷
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企画編集/福田恵一 |
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循環器領域の再生医療が叫ばれてから,10年以上が経過した.この間,骨髄間葉系幹細胞が心筋分化能を有することが報告され,さらにさまざまな組織幹細胞が発見され,心筋細胞や血管の細胞に分化することが示された.また,すべての細胞に分化できることが知られていたマウスの胚性幹(embryonic stem;ES)細胞の発見から20年が経過して,1999年にヒトES細胞が樹立された.2000年代に入ってからはヒトES細胞を利用して,心筋細胞,血管内皮細胞を含めたさまざまな種類の細胞への分化誘導法の開発がなされ,めまぐるしい進歩があった.さらに,2006年に京都大学の山中により,ES細胞が発現する4つの転写因子を皮膚の線維芽細胞に遺伝子導入することで,人工多能性幹(induced pluripotent stem;iPS)細胞を誘導できることが明らかにされた.iPS細胞は個人個人の遺伝情報を有していることから移植をしても免疫拒絶反応が生じないことや,作製にヒト受精卵を用いないため生命倫理上の問題が回避できることから,再生医療の材料として世界中から大きな期待を集めることとなった.その後,遺伝子導入法,新規リプログラム遺伝子の同定など,開発における国際的な競争を経て,ゲノムを損傷しないiPS細胞の樹立が完成し,臨床応用が望める状態となり,2012年に山中がノーベル賞を受賞することとなった.これをきっかけに,さらに再生医療研究は活気を帯びてきたといえるであろう.
こうした時代背景を受け,現在,循環器領域では虚血心筋・下肢などにむけた血管再生治療,先天性心疾患に対する再生人工血管の開発,難治性重症心不全に対する心筋細胞移植などが開発され,一部はすでに臨床応用されている.再生医療には発生学的側面の進歩,臨床応用のためのトランスレーショナル研究,組織工学的側面など多彩な学問,技術の開発が必要であり,これらが総合されて臨床応用されていく.
また,iPS細胞は再生医学以外にもさまざまな疾患の病態解析に有用であるとされている.主として,遺伝性疾患の症例からiPS細胞を樹立し目的の細胞に分化誘導することで,疾患の病態解明や創薬に役立つとされている.循環器領域では,とくに遺伝性QT延長症候群などがよい標的であるとされ,解析が進められている.遺伝性QT延長症候群は心筋細胞に発現するイオンチャネルに遺伝子異常を伴うことにより,心電図のQT時間の延長とtorsade de pointesと呼ばれる特殊な形態の心室頻拍をきたすものである.こうした領域でも日本では疾患iPS細胞が樹立され,解析が進められている.
本特集では,日本の循環器領域における再生医療研究を牽引する先生方に執筆をお願いし,最新の状況をご解説いただいた.読者諸君にとってこの領域の理解に役立つことを祈念している.
福田恵一
慶應義塾大学医学部 循環器内科 教授
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1.iPS細胞の樹立法の現状と課題/関 倫久
2.ES・iPS細胞からの血管細胞への分化/山下 潤
3.血管内皮前駆細胞を用いた血管再生医療/浅原孝之
4.組織工学を用いた血管再生医療/新岡俊治 他
5.ES・iPS細胞からの心筋細胞への分化/内藤篤彦
6.メタボローム解析を利用したES・iPS 由来心筋細胞における純化精製法の確立/遠山周吾 他
7.組織工学を用いた心筋再生医療/清水達也 他
8.骨格筋芽細胞シートによる心筋再生医療/澤 芳樹
9.心筋幹細胞を用いた先天性心疾患に対する心筋再生医療/王 英正 他
10.心筋細胞移植と不整脈/柴 祐司
11.線維芽細胞から心筋細胞への直接リプログラミング/家田真樹
12.iPS細胞を用いた循環器疾患モデル構築と解析/湯浅慎介
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