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月刊循環器CIRCULATION 10月号 |
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13年9月25日発売
A4変型判112頁
価格:本体¥2500+税 ISBNコード:978-4-287-83026-0
全ページカラー印刷
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企画編集/松原広己 |
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2013年2月に,南仏ニースにおいて肺高血圧症(pulmonary hypertension;PH)ワールドシンポジウムが開催された.討議された内容はいまだ上梓されていないが,日本から聴講に参加した先生方も多く,いくらかの内容は聞きおよんでいるかもしれない.本特集ではまず,ワールドシンポジウムの速報について取り上げる.
日本では,国民皆保険に加えて特定疾患事業により患者負担が極端に少ないため,医療費によって治療の限界が定められないという特殊事情がある.この分野の疾患の専門でない先生方でも,1〜2例の症例を抱え,非常に高額な肺血管拡張薬を2剤,3剤と併用していることもまれではない.PHとひとくくりにしても,併存疾患や状況に応じてどんなときでも同じ治療選択でよいはずはなく,本来疾患群ごとに治療戦略は異なるはずである.
しかし,こういった観点からの特集は,他誌において過去数年繰り返し行われてきたため,読者の先生方もやや食傷気味なのではないかと思われる.そこで,「ああ,またPHの特集か…」と思われないために,本特集では少し観点を変えて,実際に患者の治療にあたる第一線の先生方の疑問に答えることができるような内容を目指した.総論では,多くの先生方が直面していると思われる「抗凝固は行うべきか」,「在宅酸素療法は導入すべきか」,「運動療法は禁忌か」,「いつ移植登録を考えるべきか」,といった疑問を解消したい.また,各論では,「特発性肺高血圧症はどう治療すべきか(あるいは,いつ専門病院に紹介すべきか)」,「膠原病性肺高血圧症の早期発見・早期治療が推奨されているが,無症状でも治療するのか.また,どこまで治療するのか」,「心房中隔欠損症合併例でのシャントは閉鎖しないほうがよいのか」,「門脈肺高血圧症は肝硬変がなければ起きないのか.また,肝移植を受ければ治ってしまうものなのか」,「呼吸器疾患に伴うPHも肺動脈性の場合のように治療するべきなのか」,「慢性血栓塞栓性肺高血圧症(chronic thromboembolic pulmonary hypertension;CTEPH)の外科治療リスクはどのくらい高いのか,また低いのか」,「カテーテルインターベンションで外科手術不適のCTEPHは根治できるのか」,といった疑問を想定した.
本特集ではこれらの疑問に答えるために,各領域の専門医の先生方に執筆を依頼した.さまざまな臨床現場で実際にPH患者の診療にあたっている先生方にとって,参考となれば幸いである.
松原広己
岡山医療センター 臨床研究部長・循環器科 医長
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1.総論
1.ニース会議にみる世界の肺高血圧診療の現況/佐藤 徹
2.肺高血圧症の支持療法〜肺血管拡張薬投与下でも支持療法は必要か〜/波多野 将
3.肺高血圧症患者に対するリハビリテーション/西崎真里
4.肺高血圧症に対する肺移植〜いつ登録を考えるべきか〜/伊達洋至
2.各論
1.特発性/遺伝性肺動脈性肺高血圧症の最適治療/田村雄一
2.膠原病に伴う肺高血圧症〜治療の開始時期とゴール〜/田中住明 他
3.先天性心疾患に伴う肺高血圧症〜肺高血圧合併心房中隔欠損症のシャントは閉じるべきではないか〜/赤木禎治 他
4.門脈肺高血圧症の治療/土井 拓
5.左心系心疾患に伴う肺高血圧症 /福本義弘 他
6.呼吸器疾患/低酸素に伴う肺高血圧症/辻野一三
7.慢性血栓塞栓性肺高血圧症に対する外科治療/荻野 均
8.慢性血栓塞栓性肺高血圧症のカテーテル治療〜外科手術不適例も根治可能となったか〜/小川愛子 他
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