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HEART 12年10月号
Heart 2012年12月号 SOLD OUT

2012年11月15日発売
A4変型判
価格:本体 2,000円+税
ISBNコード:978-4-287-86016-8
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特集今こそしっかり学びたい!
   成人先天性心疾患の治療とケア

企画編集/丹羽公一郎
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 先天性心疾患,心臓病を持って生まれた子どもは,生まれてすぐに亡くなることが多く,長くは生きられないと考えられていました。本誌の読者の方たちは,看護師の方が多いと思います。先天性心疾患患者が,成人となり,就職をして,結婚し,子どもを産むなどということはとても無理な話と思われていないでしょうか。
 半世紀以上前からの心臓血管外科治療の発達と,内科管理の向上により,先天性心疾患患者の多くが成人を迎えます。現在,日本における成人先天性心疾患患者数は40万人を超えています。また,毎年1万人以上が成人すると予想されています。さらに,冠動脈合併症を伴い成人期の管理が必要となる川崎病も,20万人の方が罹患しています。成人期の先天性心疾患患者数の増加・加齢は今後も確実に進むため,すでに成人先天性心疾患は循環器科学のなかの大きな分野を占めるようになってきています。
 人工心肺を用いた手術は1950年代前半に開始されたため,先天性心疾患患者の術後生涯歴の全貌は明らかではありません。先天性心疾患手術の多くは経過観察が不要ないわゆる根治手術ではなく,遺残症,続発症を伴います。遺残症は,術前より認める心血管系などの異常で,手術とは無関係に術後も持続します(Fallot四徴症の肺動脈狭窄など)。続発症は,修復術に伴って必然的に発生し,術後も継続します(Fallot四徴症術後の肺動脈閉鎖不全など)。これらは,術後長期遠隔期の問題となります。先天性心疾患は,加齢に伴う心機能の悪化,不整脈,突然死,再手術,高血圧,冠動脈異常により病態が影響されます。また心臓以外でも,成人になるとともに,就業,医療保険,生命保険,心理的社会的問題,結婚,出産,喫煙,飲酒,遺伝など成人特有の問題を抱えるようになります。
 先天性心疾患患者は,成人しても,主に小児循環器科医が継続してみていることが少なくありません。しかし,成人先天性心疾患患者は成人であり,後天性心疾患と同様に心不全,不整脈が大きな問題となることが多いため,この分野は循環器科の管理が必要です。さらに,循環器疾患以外にも多岐にわたる問題を抱えるため,先天性心疾患患者の多くは,成人後も小児循環器科だけでなく,循環器科,心臓血管外科,麻酔科,産科,各種内科専門医,看護師,臨床心理士などのチームで構成された成人先天性心疾患を専門とする医療体制での経過観察,診療が必要です。また,小児診療施設から循環器科管理施設への管理移行の問題も重要です。
 成人先天性心疾患患者の外来,入院の際には,専門の医師と看護師が中心となり,患者の特徴に即した看護,ケアを行う必要があります。この特集では,最近注目されている成人先天性心疾患を取り上げ,その基礎から実際のケアの要点を解説しています。この特集が,日常の診療だけではなく,今後の診療の指針となれば幸いです。
丹羽公一郎
(聖路加国際病院 心血管センター 循環器内科 部長)
特集
1.ACHDを理解するための基礎知識/山岸敬幸,石崎怜奈,柴田映道
2.ACHDの内科管理の特徴と治療/相馬 桂,八尾厚史
3.ACHDの心血管外科の特徴と治療/丹羽公一郎
4.ACHD各疾患の特徴と問題点は何か:非チアノーゼ型CHD/川副泰隆
5.ACHD各疾患の特徴と問題点は何か:チアノーゼ型CHD/清水美妃子
6.ACHDの移行期支援/落合亮太
7.ACHDの診療体制とチーム医療/赤木禎治
8.ACHD外来および入院のケアのポイント/水野芳子
9.ACHDの心理学的特徴と心理的ケア/柿本多千代,松井三枝,市田蕗子
10.ACHDのICUでのケアのポイント/松山友可里,伊達清美

連載
・読み取るチカラを伸ばします! エコトレ〜心エコー図 読み方トレーニング〜
第3回 急性心筋梗塞の合併症を知ろう! PartII/福井美保

・循環器ナースのための!ガイドライン読解塾〜ガイドラインを理解し,患者支援に活かす〜
第4回 虚血性心疾患の一次予防ガイドライン/和泉幸代