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HEART 13年11月号
Heart 2014年8月号
SOLD OUT

2014年7月15日発売
A4変型判
価格:本体 2,000円+税
ISBNコード:978-4-287-86036-6
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特集心臓血管外科手術の術後ケア〜術後に発生しやすい合併症とその対応〜

企画編集/前田 浩
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目次[PDF 連載[PDF 特集[PDF 特集[PDF
 近年,日本では人口の高齢化に伴い,複数の合併症を持つハイリスク症例の手術が増加しています。このような症例のなかには,開胸や人工心肺装置の使用を必要とする侵襲度の高い心臓血管外科手術は困難とされるものもありました。しかし,手術医療の進歩により,大動脈瘤に対する大動脈内ステント内挿術(endovascular aortic repair;EVAR)や大動脈弁狭窄症に対する経カテーテル大動脈弁植込み術(transcatheter aortic valve replacement;TAVR)などを始めとした,低侵襲な方法が用いられるようになり,従来では手術の対象となり得なかったような重症症例,重度合併症症例でも手術を受けることが可能となってきました。その結果,医療全体の成否を決定する要因として,「合併症をどのように克服するか」が,より大きな問題となってきています。
 心臓血管外科術後の合併症は,一つ一つが患者の生命を脅かすものであり,早期発見および早期治療が合併症を重篤化させないための重要なポイントになってきます。本特集は,心臓血管外科手術後の看護に携わっている方に,手術後に発生しやすい合併症の病態,要因,合併症発生時の対応を理解していただけるような構成になるよう努めました。
 心臓血管外科手術は,手術方法・麻酔方法・人工心肺装置の使用の有無など多くの要因が重なり合い,術後の合併症を引き起こします。第1章では,心臓血管外科手術で最も注意しなければならない合併症である「低心拍出量症候群(low cardiac output syndrome;LOS)」を解説していただきました。第2章では,手術全般の合併症ではありますが,より急激で致死的になり易い「出血」を取り上げ,体温や血圧の影響などを解説していただきました。第3章では,心臓血管外科手術で起きやすく,発生時には急変する可能性がある「周術期心筋梗塞(perioperative myocardial infarction;PMI)」を解説していただきました。第4章では,主に人工心肺装置による影響が大きい「腎機能障害」,第5章では手術中の脳分離体外循環法や手術操作による合併症として「中枢神経障害」,第6章でも人工心肺装置による肺不全を中心に「呼吸機能障害」,第7章では手術手技や体液のバランスなどによって引き起こされる「不整脈」を解説していただきました。最後の第8章では,循環器領域で発生が多いとされ,看護師の効果的な介入により防止または軽減が行える「せん妄」を解説していただきました。
 24時間体制で患者の観察を行っている看護師が,合併症の早期発見と術後ケアを修得することで,患者が重篤化することを予防できるのではないでしょうか。本特集が,心臓血管外科手術後の看護を行ううえで必ず知っておきたい合併症を理解し,日々の看護のお役に立つことができれば幸いです。
前田 浩
(公益財団法人 日本心臓血圧研究振興会附属榊原記念病院 手術室 主任,手術看護認定看護師)
特集
1.低心拍出量症候群(LOS)/山形泰士
2.出血/村瀬早苗
3.周術期心筋梗塞(PMI)/棚窪弥生
4.腎機能障害/長谷川まい子
5.中枢神経障害/伊藤 勲
6.呼吸機能障害/橋本博明
7.不整脈/柳生阿希
8.せん妄/山口達也

連載
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