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内科からみた乾癬
-その病態とUDCA治療効果- |
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埼玉医科大学 名誉教授
伊藤 進 |
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A5判/96頁 全頁カラー印刷
定価:本体4,800円+税
ISBN978-4-287-02004-3 |
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NASHに併発する乾癬の,UDCA投与による顕著な改善から
いまだ明らかでない乾癬の病態に迫る!
◎「NASH」を世に初めて発表した著者による乾癬治療の症例報告・解説書
◎30を超える症例カラー写真と11の附図で乾癬の病態を詳細に検証・解説
◎皮膚科領域のみならず,広く臨床医,医療従事者,患者さんにおすすめ
●巻頭言
内科医である筆者が畑違いの領域に踏み込んだと思われても仕方がないことではあるが,それには次のような経緯がある.
ウイルス性肝炎の罹患がなく,アルコールを飲用しない人が,脂肪肝からさらに脂肪性肝硬変に移行しうるという認識は,今でこそ医学的常識となり,NASH(非アルコール性脂肪性肝炎),あるいはNAFLD(非アルコール性脂肪性肝疾患)という術語も知られるようになったが,今から30年前は,このような事実は誰も評価しなかったのである.小生は,1979年,このような脂肪肝からの硬変化を組織学的に確認し,世に初めて発表した.ついで,1980年,Ludwigらのいうnonalcoholic steatohepatitis(NASH)という術語が普及するようになったといえる.
このNASHの患者にたまたま乾癬が見いだされ,さらに,軽い糖尿病,肥満が合併しており,肝機能検査異常を認めたので,肝の組織学的検索を行い,その結果,線維増生を伴った大脂肪滴性脂肪肝であることが解った.そこで,UDCAを投与したところ,乾癬は2,3ヵ月のうちにかなり消退した.この結果は,UDCAに依るものと考えられ,以後,同様な乾癬例に,同じくUDCAを投与し,顕著な改善を認めることが確認された.これらの症例とその論旨は邦文誌,英文誌に発表した.小生は,すでに研究の場になかったので,思うままのデータは得られなかったが,文献的にはある程度,乾癬に関する報告は収集,整理することはでき,その結果,この疾患は,単に皮膚疾患のみでなく,種々の疾患,病態に関連していることが理解されてきた.そこで,この広範な領域には深く踏み込めないにしても,表在的には,乾癬とその関連疾患ないし病態を説いてみたいと思い至ったのである.
一疾患は単に一臓器,一器官の障害にとどまることなく,全身的に波及しうる病態を現す.この乾癬は,かなり病態が複雑で,なお,明らかでない点が多々ある.このささやかな冊子が,将来の発展への捨て石になれば,著者の悦び,これに過ぎるものはない.なお,本書は皮膚科領域のみならず,広く臨床医,医療従事者,患者さん達も一読され,関心のもたれることを願うものである.
伊藤 進
●もくじ
はじめに
第1章 症例とUDCA治療前後像
1)症例1〜10 乾癬例
症例1 64歳 女性
症例2 65歳 男性
症例3 61歳 男性
症例4 53歳 男性
症例5 77歳 女性
症例6 67歳 男性
症例7 65歳 女性
症例8 66歳 女性
症例9 45歳 男性
症例10 63歳 女性
2)症例11 類乾癬例
症例11 45歳 男性
3)症例12 リウマチ性浸出性関節炎
症例12 80歳 女性
4)まとめ
年齢・性
BMI
合併症
第2章 乾癬病態の考察
1)肥満と乾癬
2)メタボリックシンドロームと乾癬
3)乾癬と不飽和脂肪酸,魚油
ω-3の不飽和脂肪酸
ω-6の不飽和脂肪酸
EPAと乾癬
4)乾癬と非アルコール性脂肪性肝炎(NASH)
5)乾癬とホスホリパーゼA2
6)ホスホリパーゼA2とウルソデオキシコール酸
7)乾癬とUDCA
8)乾癬とLDL,OxLDL
9)UDCAとLDL,OxLDL
10)爪の乾癬
11)類乾癬
12)リウマチ性浸出性関節炎
第3章 まとめ
文献
おわりに
索引 |