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レジデント
レジデント3月号 SOLD OUT

2010年2月10日発売 AB判
価格:本体2,000円+税
ISBNコード:978-4-287-81024-8
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特集高血圧治療薬-降圧薬の上手な使い方
編集企画/伊藤貞嘉
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特集 特集 連載 連載
 わが国における高血圧患者は約4000万人にものぼると推計されており,最も頻度の高い疾患である.高血圧が脳卒中,心疾患や腎不全の重要な危険因子であり,高血圧の治療によりこれらの疾患の発症やそれによる死亡を抑制できることは実証されている.したがって,高血圧の診療を正しく行うことは,国民の健康福祉および健全なる社会の構築にはきわめて重要な事項である.高血圧治療の目的は,高血圧による心血管病や腎不全の発症,進展,再発を抑制して死亡を減少させ,高血圧患者が健常者と変わらない充実した日常生活を送ることができるように支援することである.高血圧治療は生活習慣の修正と薬物療法の両者が重要である.
 高血圧の治療は,血圧のレベル,合併症や臓器障害の程度により大きく異なる.降圧薬の選択に関しても,どの薬剤のどの用量から始め,再診のタイミング,降圧が不十分と判断されるときにどのタイミングで薬剤の変更,増量,追加投与を行うかなどを判断しながら行うことになる.これらの判断の基になるのが,個々の患者の病態の把握と降圧薬に関する知識である.降圧薬を理解することは高血圧の病態への理解を深めることにつながる.
 近年,降圧効果が高く,副作用の少ない優れた降圧薬が登場し,血圧管理は以前と比べると格段に容易になっている.しかし,血圧はただ下げればよいというものではなく,各患者の病態に応じた降圧療法を行う必要がある.それぞれの薬剤の作用機序,体内動態や薬物の特性を理解することは,適切な降圧療法には欠かせない.高血圧患者はさまざまな合併症を有することが多い.合併症により推奨される薬剤,禁忌となる薬剤もある.また,一方では治療を受けている患者の半数は目標血圧に到達していないことも知られている.
 高血圧の治療は長期にわたることが多く,患者の理解を得られなければ成功はありえない.検査や治療法,とくに薬剤の作用機序や副作用などについて十分に,しかもわかりやすく患者に説明することが重要である.
 高血圧は循環器や腎臓内科のみならず,多くの診療科で診療されている.また,専門医を受診している患者よりも,一般医家において治療されている患者が多い.このような現状から,患者を総合的に診療するには高血圧に対する基本的なアプローチを身につけることが必要であり,降圧薬の使い方の基本を知ることはその第一歩となる.
 本特集によりこれらの知識を身につけ,臨床に役立ていただければ幸いである.
伊藤貞嘉
(東北大学大学院医学系研究科 内科病態学講座 腎・高血圧・内分泌学分野 教授)

特集高血圧治療薬降圧薬の上手な使い方……編集企画/伊藤貞嘉
特集にあたって……伊藤貞嘉
1. カルシウム拮抗薬……木村健二郎
2. アンジオテンシン2受容体拮抗薬(ARB)……木村玄次郎 他
3. アンジオテンシン変換酵素阻害薬……小室一成 他
4. 利尿薬……森 建文 他
5. β遮断薬(αβ遮断薬を含む)……檜垣實男 他
6. α1遮断薬……久代登志男
7. アルドステロン拮抗薬,カリウム保持性利尿薬……佐藤敦久 他
8. 中枢性交感神経抑制薬……苅尾七臣 他
9. 血管拡張薬……鈴木洋通
10. 合剤……齊藤郁夫
11. 静脈内投与降圧薬……松村 潔


連載
◆診察を極める!Dr.古谷のあすなろ塾

・第15回 スクリーニング診察を極める!(後編)……古谷伸之
◆主要徴候別ER診療の実際
  ・第12回 呼吸困難……清水孝一・三宅康史
◆患者さんとの接し方
  ・第20回 “To know all is to forgive all”……星野達夫
◆デキレジ〜聖路加チーフレジデントがあなたをデキるレジデントにします……森 信好
  ・第24回 「先生! デコってます!」……監修/岡田 定
  ・レジ力判定チェックシート
◆基本臨床手技
  ・第11回 手術準備操作2 術野の消毒,ドレープテクニック,滅菌……寺島裕夫
◆はじめての症候診断〜臨床決断のセンスを磨こう〜
  ・第9回 病歴で迫る! 失神の診断……栗原 宏・前野哲博
◆研修現場でEBMを実践しよう
  ・第21回 観察研究のメタ分析……北川貢嗣・名郷直樹