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月刊レジデント14年1月号
レジデント4月号 SOLD OUT
15年3月10日発売
AB判136頁
価格:本体¥2,000+税
ISBNコード:978-4-287-81085-9
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特集身体診察から見極める コモンプロブレムへの対応
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 本特集では,地域を基盤としたプライマリ・ケアの現場で日常よく遭遇するコモンプロブレムに「家庭医」(日本では「総合診療専門医」と呼ばれることになった)がどう対応するかを解説している.身体診察を中心としつつも,実際の診療プロセスで考慮するポイントも盛り込んでいるので,プライマリ・ケアの専門医である家庭医の標準的な診療を理解する参考になるだろう.
 臨床には,スペシャリストのアプローチとジェネラリストのアプローチがある.スペシャリストのアプローチは,患者から得られる情報が既知の医学の知識体(データベース)のどこに当てはまるかを鑑別して「疾患(disease)」を理解することである.一方,ジェネラリストのアプローチは,患者の苦しみが患者の人生の大きな絵(コンテクスト)のなかにどう当てはまるかを洞察して患者の「病気の経験(illness experience)」を理解することである.家庭医の強みは,これら両方のアプローチをバランスよく活用できる立ち位置にいることだ.
 疾患を理解する部分では,臨床研究のエビデンスや診療ガイドラインを参考にするが,日本ではプライマリ・ケア研究で作られたエビデンスを考慮した診療ガイドラインが少ないので,注意が必要だ.2次・3次ケアのセッティングで作られたガイドラインが推奨していることが,プライマリ・ケアでは不適当なこともある.病歴・診察・検査で得られた情報が診断に寄与する感度・特異度も,セッティングによって異なるのだ.本特集では,広く海外のプライマリ・ケアのセッティングで作られた家庭医に役立つエビデンスや診療ガイドラインも参考にするよう努力した.
 病気の経験を理解する部分では,患者のナラティブ(解釈・期待・感情・影響)に着目して「どのように苦しいのか」の洞察を深める.それは,たとえ同じ病理学的変化が心身に起こっても,苦しみ方は人によりさまざまだからだ.患者の訴えの表面的な理解で誤った「症状ラベル」を貼ってしまうと,真の問題解決から乖離してしまう.
 病気や健康に関する問題が最初に発生し人々がその問題を抱えて生活する場が「地域」であり,そこがプライマリ・ケアの現場だ.そこでは,診断がつかない症状(“medically unexplained symptoms”)の苦しみも数多く経験されている.また,高齢者はもとより若い人たちでも,複数の問題を同時に抱えていることが多い.家庭医は,ケアの対象の年齢・性・経過(急性・慢性)にかかわらず,多彩なケアのゴール(治癒・緩和・看取り)へ向けて,安全・安心な地域での生活を支援しつつ(多職種連携),さらに地域住民全体の予防・健康維持・増進へもかかわっていく(“population at risk”).しかも,ケアの場は問わない(外来・入院・入所・在宅・学校・集会所など).
 残念ながら,本特集のスコープを越えるため紹介しきれないプライマリ・ケアの重要でユニークなトピックスがまだ多くある.読者が継続した興味を持って,さらに学びの機会を探索していくことを期待している.


(福島県立医科大学医学部 地域・家庭医療学講座 主任教授)
特集身体診察から見極める コモンプロブレムへの対応
1. 予防,考えていますか? 転倒予防〜リスクの評価と介入方法〜/山入端浩之
2. もの忘れ/高澤奈緒美
3. うつ・不安/増山由紀子
4. 不眠〜非薬物療法を中心に〜/星 吾朗
5. 胸痛・心臓発作 /若山 隆
6. 頭痛・脳卒中/川井 巧
7. 慢性心不全/菅家智史
8. 風邪・インフルエンザ/石井 敦
9. 急性虫垂炎・急性胆嚢炎,過敏性腸症候群/武田 仁
10. 腰痛・肩痛・関節痛/望月 亮
11. めまい/鵜飼友彦
12. 尿路感染症〜診断を中心に〜/高柳宏史



連載
◆Toxicovigilance−毒を診る−……監修/水谷太郎
 ・第21回 拮抗しますか?………阿部智一
◆患者さんとの接し方
 ・第80話 よい接し方の型−小さな子供のひとこと……星野達夫
◆〔新連載〕みるみるわかる心血管のはなし
 ・第1回 足が痛くなったら………田宮栄治・村川裕二
ピンチの研修医………編集/岡田 定
 ・第7回 けいれんの対応………岡本武士
◆慶應循環器内科カンファレンス………監修/福田恵一
 ・第41回 CTEPH に対するカテーテル治療中に血栓塞栓症の増悪を認めた症例……川上崇史