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月刊レジデント14年1月号
レジデント7月号
16年6月10日発売
AB判136頁
価格:本体¥2,000+税
ISBNコード:978-4-287-81000-9
全ページカラー印刷
特集レジデントにとって必須の緩和ケアの知識
企画編集/細川豊史
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 “緩和ケア”と聞いて皆さんはどんな医療を思い浮かべますか? 「終末期の医療?」「抗がん剤が効かなくなった後の姑息的治療?」,かつてはそうでした.しかし,今は,そうではありません.
 現在,“がん”は日本の死因の第1位の疾患であり,日本人男性では60%,女性では48%が“がん”に罹り,3人に1人ががんで亡くなっています.読者の皆さんは臨床の現場で必ず「がん患者」に出会います.そして担当医として手術を行い,化学療法や放射線治療を行い,なんとか「がん」という病に対処しよう,治療しようとするでしょう.それと同時にさまざまな「がん患者の声」を聴くことにもなります.「ここが痛い.あそこが痛い.」「息苦しい」「気持ちが悪い」辛い身体症状をがん患者は訴えます.「自分ががんであるはずがない」「眠れない」「不安だ」「どうしたらいいかわからない」,精神面はもっと複雑で,ときには「私,もう助からないのですか? 死ぬのですか?」と思わず返答に詰まる質問を受ける場面も出てくるでしょう.「仕事を失い経済的に困っている」「家族に迷惑をかけたくない」など社会的問題もがん患者を悩ませます.「モルヒネは中毒になるから使いたくない」「自分が悪くなる先のことは考えたくない」,誤解や否定が診療を進めるうえでの障壁となります.患者を取り巻く家族も,多くの心配事や不安を同様に持っています.あるときは,目の前の患者はこれらの辛さがあるにもかかわらず,うまくそのことを医師に訴えることができていないのかもしれません. このようながんなどの重い病を持つ患者とその家族の「辛さ」に1つ1つ対応し,患者の豊かな人生を支えていくのが“緩和ケア”です.基本的緩和ケアとは,最初に患者にかかわる主治医や担当看護師などが,病気の時期を問わずに日常の診療のなかで提供するケアです.
 本特集は,読者の皆さんが担当医としてがん患者の治療にかかわる際に,どのようにして患者の気がかりや辛さを探し出し,それに対応していけばよいのか,実際の臨床のなかでよく出会う症状・場面を具体的に想定して学習できるように構成してあります.また,チーム医療やコミュニケーションについても触れ,厳しい状況にあるがん患者に対し,医療者がどのような姿勢で基本的緩和ケアに望めばよいかを提案しています.緩和ケアの初歩を学ぶためのわかりやすい解説が得られるよう,がん診療に第1線で携わる非常に臨床にも教育にも熱心に取り組んでおられる先生方に執筆を依頼しました.
 一方で筆者は“緩和ケア”はがんなどの病気の診療の一部だけであるのではなく,「患者の人生を支える」という医療者としての根本を問うケアであると考えています.本特集が,今まさにがん患者とその御家族に臨むレジデントの皆さんの,緩和ケアの理解と実践に役立つ,医療者としての姿勢と知識の源泉となることを願って序とさせていただきます.
細川豊史
(京都府立医科大学 疼痛・緩和医療学講座 教授/日本緩和医療学会 理事長/
日本ペインクリニック学会 代表理事)
特集レジデントにとって必須の緩和ケアの知識
1. 緩和ケアとは/山代亜紀子・細川豊史
2. チーム医療/坂下明大
3. コミュニケーション/石田真弓・大西秀樹
4-1. 痛みに対応しよう 痛みの評価と治療の選択/大西佳子・細川豊史
4-2. 痛みに対応しよう 鎮痛薬と副作用/波多野貴彦・細川豊史
5. 呼吸困難に対応しよう/坂本明之・間宮敬子
6. 消化器症状に対応しよう/三宅 智
7. がん患者の栄養管理と輸液療法/東口髙志・中川理子・三吉彩子・須崎 真
8. 薬が飲めなくなったとき〜投与経路の変更〜/大坂 巌
9. がん患者の精神症状 気持ちのつらさ/上村恵一
10. がん患者の精神症状 せん妄/羽多野 裕
11. 今後の事を話しあおう/木澤義之
12. 臨死期のケアの看取り/新城拓也



連載
◆患者さんとの接し方
 ・第95話 人工知能時代の医師………星野達夫
ピンチの研修医………編集/岡田 定
 ・第22回 がん診療の大原則………岡本武士
◆慶應循環器内科カンファレンス………監修/福田恵一
 ・第56回 経カテーテル大動脈弁留置術後に閉塞性肥大型心筋症様の血行動態となり
心不全症状を呈した1例………家田真樹
◆循環器内科 目からウロコ Q&A
 ・第4回 脚ブロック……田宮栄治・村川裕二

訂正文
レジデント2016年7月号において,以下の箇所に誤りがありましたのでお詫びして訂正いたします.

・目次 特集にあたって 執筆者名
 (誤)星地亜都司
 (正)細川豊史

皆様にご迷惑をおかけしましたことを深くお詫び申し上げます.