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レジデント6月号
AB判128頁
価格:本体¥2,000+税
ISBNコード:978-4-287-81117-7
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特集小児疾患:診断の基礎とポイント
企画編集/呉 東進
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 日本では近年少子高齢化が急速に進行して,総合病院から小児科がなくなる,病院内では小児科病棟が外科系を含めた小児病棟や他科との混合病棟になる,といったことがごくあたりまえにみられるようになってきた.一方で,核家族化などを反映して夜間や休日に救急病院・休日診療所などが子どもの患者でいっぱいになるなど,日本の小児医療環境は大きく変動しており,小児医療に対してネガティブな印象をもっている医学生や研修医は少なくないのではないか.学習意欲がわいてこないということもあるかもしれない.しかし,世界に目をむけてみると,子どもの人口は決して少ないわけではなく,15歳未満の子どもは世界の総人口のおよそ4分の1を占めており,これからも引き続き子どもの病気や健康状態に対する医療的ニーズは高いと予想される.大きな視野をもって小児医療の学習に取り組んでもらいたいと願っている.
 子どもの一番大きな特徴は成長・発達するということで,解剖学的・生理学的に成人とはまったく異なっており,同じ子どものなかでも年齢によってかなり違ってくることも珍しくない.また,病態の変化が早く,ゆっくり待っていると手遅れになることもある.近年の遺伝子医療の急激な進歩のおかげで,以前は治療の可能性がなかったような疾患にも治療法が開発され,きちんと早期に診断・鑑別して治療への道筋をつけることが大切になったものも出てきた.一方で,核家族化や少子化などの影響によって,子育て経験の少ない両親や保護者が多くなり,ごくありふれたことでも医師に質問してくることが増え,小児を診療する医師に求められる医学的知識は非常に幅広くなっている.
 以上のようなことから,本特集では,疾患の軽重にかかわらず,小児病棟やプライマリケアの現場で初期研修医・後期研修医・ポリクリの医学生などが実際に経験する可能性の高い小児の疾患や状態について,その見方,診断や鑑別上の重要なポイントなどを,なぜそうなのかが理解しやすいように,基礎的な解剖・病態生理の観点からなるべく簡潔に解説するようにしている.研修をしながら本書を読み再び研修に臨むという相互フィードバックを行って,小児疾患や病態の診断のポイントをつかみ理解を深めてほしい.ついでながら,小児医療を理解することで,同じような病態が高齢者でもみられることに気がつくことがあると思う.人は年をとると子どもに戻っていくといわれることもあるが,人の医療の基本は子どもにあり,小児医療の学習は対象の年齢を超えると筆者は考えている. 薬や免疫チェックポイント治療薬ニボルマブの登場で劇的に治療法と予後が変化した腎がんも解説していただきます.
 本特集が読者の皆様の診療の少しでもお役に立てば,望外の喜びです.またこれをきっかけに一人でも泌尿器科に興味をもってくださる若い先生方が生まれることを期待しています.
呉 東進
(京都大学大学院 医学研究科 教授)
特集小児疾患:診断の基礎とポイント
1. 子どもの体の特徴/呉 東進
2.脳神経疾患〜急性脳症の診療について〜/加藤竹雄・井手見名子・毎原敏郎
3. 先天性心疾患/馬場志郎
4. 呼吸器疾患/足立雄一
5. 感染性疾患/清水恒広
6. 免疫・アレルギー疾患/岡藤郁夫
7. 内分泌・代謝疾患/依藤 亨
8. 先天異常・遺伝性疾患/富和清隆
9. 新生児・低出生体重児疾患/饗場 智
10. 腎臓・尿路疾患/塚原宏一・宮原宏幸
11. 小児血液・悪性疾患/今井 剛
12. 小児外科・消化器疾患/野村明芳・矢本真也・福本弘二・漆原直人

連載
◆患者さんとの接し方
 ・第112話 視力障害のある患者さんとの接し方ー臨床医の「センス」と「資質」…星野達夫
◆慶應循環器内科カンファレンス……監修/福田恵一
 ・第69回 高齢の徐脈性心房細動完全房室ブロックに対してリードレスペースメーカ植込みを行った1例
  …相澤義泰