HOME雑誌レジデント > レジデント18年10月号
レジデント10月号
AB判128頁
価格:本体¥2,000+税
ISBNコード:978-4-287-81121-4
全ページカラー印刷
特集研修医が知っておきたい 神経疾患の診断と治療
企画編集/藤岡俊樹
 神経系の疾患は血管障害をはじめとして新生物,炎症,代謝異常など,きわめて多岐にわたる.このうち血管障害は,日本の国民病といわれるほど有病率が高く,診療科にかかわらずすべての医師が遭遇するのではないだろうか.
 しかし血管障害以外の神経疾患も,たとえば認知症性疾患やパーキンソン病などの変性疾患患者は人口の高齢化に伴って増加している.同時に,これらの神経疾患をすでに罹患している患者が,その神経疾患以外の疾患の治療や手術などを目的として入院する場合は,神経疾患を専門として診療していない医師でも,ある程度は疾患のことを理解しつつかかわる必要性があると思われる.さらに,がん治療や脳血管疾患の積極的治療が進歩し,これらの疾患が原因で寝たきり状態や在宅介護を受ける状態に陥る方が減ったため,相対的に神経疾患患者が占める比重が増してきている.
 従来,神経疾患イコール難病であるとか難治性疾患と考えられたことが多いと思う.また神経診察の面倒さなどから神経病を敬遠してしまう医学生諸君や研修医諸君も多いかと思う(失礼があったらごめんなさい).しかし,近年は,既知の神経疾患でも治療法の面で数々の進歩がみられ,今まで未知の神経疾患であっても新しいテクノロジーの導入で診断が可能となり特異的治療が可能になったものもあるため,適切な時期に専門家にゆだねる機会を逸してはならない.また,不幸にしていまだに新規治療が開発されていない疾患であっても,予後や見通しを的確にアドバイスできることは,プライマリケア医にとっても大変重要な役割である.このためにも,各疾患の概略はつねにアップデートしておく必要があるだろう.
 血管障害については,最近,特集が組まれたところであるため,今号では血管障害以外の神経疾患の診断や治療の現状について各方面の専門家の先生に解説をお願いした.本特集を読んで,神経疾患の魅力に皆さんが開眼し,関連分野の専攻生となってくださると執筆者一同,大変幸せである.また,たとえそうでなくとも,神経疾患の存在を正しくかぎ分けられ,評価できるようになって,皆さんの研修医としての評価が今以上に高まることを期待している.
藤岡俊樹
(東邦大学 医学部 内科学講座(大橋)神経内科学分野 教授)
特集研修医が知っておきたい 神経疾患の診断と治療
1. 骨格筋疾患/尾方克久
2. 神経筋接合部疾患/紺野晋吾
3. 末梢神経疾患/桑原 聡
4. 運動ニューロン疾患/山田晋一郎・橋詰 淳・勝野雅央
5. 神経感染症/原 誠
6. 非感染性脳炎・脳症/米田 誠
7. 脱髄性疾患/北山通朗・藤原一男
8. Movement disorders(パーキンソン病,PSP,MSA,SDS,CBDなど)/浅原有揮・余郷麻希子・鈴木正彦
9. 運動失調症の診断と治療/小野寺 理
10. 認知症関連疾患/二村明徳・小野賢二郎
11. 機能性疾患(頭痛・てんかん)/辰元宗人・平田幸一
12. 脳脊髄の腫瘍性疾患/桝田博之・周郷延雄

連載
◆患者さんとの接し方
 ・第116話 第一発見者の義務-待つ身のつらさ……星野達夫
◆ヨルレジ……編集/森 信好
 ・第18回 輸液……孫 楽
◆慶應循環器内科カンファレンス……監修/福田恵一
 ・第73回 著明な左室拡大に起因した機能性僧帽弁閉鎖不全症に対して弁下部組織修復術が奏功した症例
  ……板橋裕史

 訂正文
 レジデント2018年10月号において,以下の箇所に誤りがありましたのでお詫びして訂正いたします。
・ページ35,図4は文献10,園生雅弘:認定医指導のためのレビュー・オピニオン:運動ニューロン疾患.脊椎外科,25:234-241,2011.
からの引用と記載しておりましたが図4は佐々木彰一先生が著作権を保有しておりました。
 本来は著作権者の佐々木先生から許諾を得て掲載すべき写真を無許諾で掲載してしまう結果になり誠に申し訳ございませんでした。今後はこのようなことがないよう真摯に再発防止に取り組みたいと考えております。
佐々木先生,読者の皆様にご迷惑をおかけしましたことを深くお詫び申し上げます。