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レジデント3月号
AB判112頁
価格:本体¥2,273+税10%
ISBNコード:978-4-287-81125-2
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特集サルコペニア対策の最前線
企画編集/山田 実
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 サルコペニアとは,加齢に伴う骨格筋量減少および筋力低下を示し,2016年に国際疾病分類に傷病登録がなされた疾病である.2010 年にヨーロッパ(European Working Group on Sarcopenia in Older People: EWGSOP)の,2014年にはアジアのワーキンググループ(Asian Working Group for Sarcopenia: AWGS)によってそれぞれサルコペニアの判定基準が報告され,とくに高齢者診療場面においては重要な評価と位置付けられるようになった.さらに,2017年にはサルコペニアの診療ガイドラインが発刊,2019年にはAWGSによるサルコペニア判定の改訂版(AWGS2019)が公表されるなど,国内外でサルコペニアに対する関心度は高まっている.しかし,現時点ではサルコペニアの診断・治療には診療報酬が適用されず,今日の医療現場においてサルコペニアの位置付けは必ずしも高いとはいえない.
 このような中で,サルコペニアに関する研究は着実に進歩し,Rosenbergによってサルコペニアの概念が紹介された約30年前と比較すると,さまざまなことが明確になってきた.まず,サルコペニアの有病率は地域在住高齢者の15%程度と高く,加齢や疾病の影響によりその有病率は高まるということ.とくに,慢性疾患との関わりが深く,心不全や腎不全,糖尿病等の高齢内科疾患患者ではサルコペニアの存在が治療成績や予後に大きな影響を及ぼすこと.さらに,対策としては運動や栄養が重要であり,適切な介入によって筋力や骨格筋量の改善効果が期待できることなどである.このように,サルコペニアは有病率が高く,その存在が治療成績や予後に大きな影響を及ぼすこと,そして対応の可能性があることなどから,高齢者診療場面においては十分に留意しなければならない疾病である. 本特集では,サルコペニア診療に必要となる基本的な情報を整理した.まず,サルコペニアのオーバービューとして判定方法や一般的な介入の考えなどを整理し,身体機能や身体活動,認知機能,口腔機能等との関連性を総論的にまとめた.これらの情報により,サルコペニアの全体像を概ね把握することが可能である.次に,サルコペニアとの係わりが深い代表的な疾患(骨関節疾患,腎不全,心不全,糖尿病)を例に挙げ,それぞれのサルコペニアの特徴などを概説した.各疾患においてサルコペニアの特徴は少しずつ異なり,それぞれの違いを把握しておくことでより適切な介入へとつながる.さらに,各セッティング(急性期,回復期,維持期)におけるサルコペニアの現状・対策について整理した.セッティングごとで,サルコペニアの意義,影響度合い,対策方法などが異なることから,それぞれの特徴を把握しておくことが重要である.これらの情報が,高齢者診療場面において,少しでも役に立てば幸いである.
山田 実
(筑波大学 人間系 教授)
特集サルコペニア対策の最前線
1. サルコペニア・オーバービュー/山田 実
2. サルコペニアと身体機能/ 永井宏達
3. サルコペニアと認知機能/ 土井剛彦
4. サルコペニアと摂食嚥下障害/ 鈴木瑞恵
5. サルコペニアと身体活動/ 上村一貴
6. 骨関節疾患とサルコペニア/栗田宜明・和田 治
7. 慢性腎臓病とサルコペニア /音部雄平・平木幸治・柴垣有吾
8. 心不全とサルコペニア / 石山大介
9. 糖尿病とサルコペニア/ 山田 悟
10. 急性期におけるサルコペニア/三栖翔吾・井上達朗
11. 回復期におけるサルコペニア/吉村芳弘
12. 地域におけるサルコペニア/ 渡邊裕也

連載
◆患者さんとの接し方
 ・第120話 自己紹介,笑顔,そしてユーモア−患者さんとのよい接し方を求めて……星野達夫