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レジデント6月号
AB判96頁
価格:本体¥2,273+税10%
ISBNコード:978-4-287-81128-3
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特集熱傷初期診療のエッセンスとエビデンス
企画編集/織田 順
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 熱傷(やけど)はとても日常的な外傷で,とくに火を使うようになって以来の人類には常につきまとってきた問題である.高温熱源,高温物質は生活向上,あるいは産業の発達に不可欠で,ある時代までは熱傷患者数が増加してきていたに違いない.これを食い止めるべく高温熱源・物質のコントロールや安全管理,あるいはそれらの啓発が強力に押し進められてきたことにより熱傷患者,とくに重症熱傷患者の発生数は日本を含む先進国では年々減少しており,大変喜ばしいことである.
 熱傷患者が減少したことは素晴らしいことである.一方異なる視点からは熱傷治療の経験減少とも解釈される.経験減少が治療成績を下げてしまうことのないようにしなければならない.そのためには熱傷治療のエッセンスをわかりやすい,実用可能な形で理解しておく必要があるだろう.軽微なやけどは,治療経過は長くないため初期評価や処置が大事である.広範囲熱傷では診療経過が格段に異なり,蘇生から利尿期に至る超急性期,手術,その後の感染管理,栄養,リハビリから,家族や社会的サポートを考慮しつつ社会にお返しするところまで広く拡充される.
 本号では「熱傷初期診療のエッセンス・エビデンス」として,専門家に引き渡す前の,初療段階での診療について,第一線の医師により各項のエッセンスを,エビデンスを交えつつわかりやすく書き下ろしていただいている.熱傷初期診療の要点は,生理学的な危機に対する少しだけ高度な対症療法と,熱傷診療におけるDo/Don't,コンサルトや根本治療への橋渡し,に集約される.エッセンスはAirway,Breathing,Circulation の安定化で,初期対応が予後に重大な影響を及ぼす.局所療法,あるいは特殊熱傷に対しても,本号をきっかけにぜひとも実践していただきたいと思う.熱傷診療は,体の内部で何が起こっているのか,想像力を最大に高めながら戦ううちに侵襲学が身についてくることも魅力である.テクノロジーの進化とともに安全性が高まっていることとは別に,世界的に自然災害,人為的災害による熱傷は相変わらず散見される.コンサートやスポーツ観戦などいわゆるマスギャザリングについても東京オリンピック・パラリンピック大会で規模は桁違いとなる.多数熱傷患者の発生に対する体制整備も進める必要があるだろう.そしてなにより,やや使い古された感はあるが,重症熱傷診療ほど診療チームの総合力が試されるものはない.チーム医療と病院準備についても解説していただく.
 本号が読者のみなさまの熱傷診療の一助となり,また診療チームの総合力を上げていただけるものとな4れば大変幸甚である.
織田 順
(東京医科大学 救急・災害医学分野 主任教授)
特集熱傷初期診療のエッセンスとエビデンス
1. 「熱傷初期診療の標準化」国内外の状況/織田 順
2. 「軽くやけどした」どう評価してどう処置すればよいか?/佐藤俊昭
3. 「煙をすったようだ」気道呼吸管理・気道損傷/卯津羅雅彦
4. 「熱傷では循環管理が大変というけれど」熱傷侵襲と循環管理/上尾光弘
5. 「熱傷創処置をどう考えればよいのか」外用剤と創傷被覆材/黒柳美里
6. 「熱傷の減張切開」コンパートメント症候群のリスク/春成伸之
7. 「小児熱傷」成人とどう違う?/黒木雄一
8. 「感電した,雷が落ちた」電撃傷でとくに気をつけることは?/武田多一
9. 「薬品がかかった」化学損傷診療の要点/池野屋慎太郎
10. 「多数の熱傷患者が発生した模様」多数熱傷患者の受け入れ,安定化,二次トリアージ,分散搬送は?/
   土井賢治・田熊清継
11. 「重症熱傷診療はチーム診療の総合力が試される」施設における準備・チーム医療の実践/井上貴昭