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レジデント第130号
AB判96頁
価格:本体¥2,273+税10%
ISBNコード:978-4-287-81130-6
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特集熱のある患者を診療するときのポイント
企画編集/尾本篤志
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 患者さんはどんな症状があれば,病院を受診することが多いと思いますか? 最も多い訴えは痛み(頭痛,胸痛,腹痛,腰痛など)であり,その次は発熱だと思います.
 小児領域では発熱は最もありふれた主訴であり,全体でみると,救急外来を受診する患者の主訴の第3位が発熱といわれています.それほど発熱はポピュラーな主訴です.
 体温はバイタルサインのうちの1つであり,生体の状態を反映する重要なパラメータで,バイタルサインの異常では最も頻度が多く,「熱のある患者さん」に対する病歴聴取,理学所見,およびそれを踏まえたアセスメントは,すべての診療科の医師にとっても必要なスキルです.
 体温が上昇している患者さんをみると,我々はすぐに発熱していると判断してしまいますが,発熱以外にも体温上昇をきたすことがあります.熱産生や熱放散の異常で高体温は生じます.また,体温の適切な評価方法を知らないと,適切なアセスメントに結びつかない可能性があります.熱の割には頻脈がみられない,朝になると平熱になっているなどは,診断のうえで重要になります.
 発熱をきたす疾患で最も多いのはウイルスをはじめとする感染症です.ほとんどの急性熱性疾患は,適切な病歴聴取,検査,臨床検査によってすみやかに診断できることができ,自然に寛解するものが多いです.感染症に対しては,feverwork upである胸部X線,尿検査,血液培養の結果を踏まえ診断を行います.
 熱のある患者さんのなかには,緊急性を要する疾患や,致死性の疾患の方もいらっしゃいます.意識障害を伴うもの,悪寒戦慄を伴うもの,血圧低下を伴うものは重篤である可能性が高く,迅速な判断,対応が求められます.また,患者さん自身の背景によって,想起すべき疾患が異なる場合もあります.
 体温上昇の原因特定で最も有用な要素は,随伴症状です.病歴聴取と随伴症状の把握で,ほとんど鑑別診断は絞れます.その答え合わせとして,各種検査を行い,診断を行います.
 現在は診断学の進歩,および各種モダリティーの精度向上により,発熱の原因特定に至らないケースは減少してきましたが,それでもまだ不明熱患者の相談は,総合内科に舞い込みます.以前は不明熱の原因は感染症,膠原病,悪性疾患でしたが,最近では感染症の頻度は減少し,他の原因が増加しています.不明熱の診断においても,やはり重要となるのは詳細な病歴聴取,丁寧な理学所見であることは変わりません.それでもわからないときには「tissue is aissue」であり,病理所見が重要となってきます.それは側頭動脈生検であったり,ランダム皮膚生検であったりします.
 今回の特集では,読者の皆さんが臨床の現場で熱のある患者さんを診るときに,より効率的に,より確実に,患者さんのアウトカムを向上させることができるよう構成しております.読み終えたころには,熱のある患者さんを診ることに,苦手意識はすっかりなくなっていることを期待します.
 最後に,現在発熱患者の診療は,新型コロナウイルス感染症のパンデミックにより,多大な制限とストレスの中で行われています.診療に携わるすべての医療従事者に敬意を表するとともに,一日も早いパンデミックの終息を祈念いたします.
尾本篤志
(京都第一赤十字病院 総合内科部長)
特集熱のある患者を診療するときのポイント
1.体温が上昇するメカニズム/鈴木祥太郎,清田雅智
2.発熱の評価をどのように行うか?/佐田竜一
3.熱のある患者に対する臨床推論-問診,OPQRST,ROS,身体診察について-/長野広之,上田剛士
4.随伴症状から進める発熱の臨床推論/牧尾成二郎,多胡雅毅
5.発熱患者の検査をどう見るか?/有馬丈洋
6.背景から読み解く発熱/井上 祐,二村 俊,川島篤志
7.不明熱診療-感染症の観点から-/弓場達也
8.不明熱診療-リウマチ性疾患の観点から-/山本恭資,六反田 諒
9.不明熱診療-悪性疾患(悪性腫瘍)の観点から-/鈴木富雄
10.それでもわからない不明熱/横江正道