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レジデント第132号
AB判112頁
定価2,500円(本体2,273円+税10%)
ISBNコード:978-4-287-81132-0
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特集インスリンの使い方をマスターする
企画編集/弘世貴久
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 インスリン治療はもうすぐ100年の歴史を迎えます.多くの1型糖尿病患者にとっては命を守る治療法であるのはご存じの通りですが,2型糖尿病にとってもなくてはならない治療です.しかし,現在においてもまだまだインスリン治療は専門医の道具という側面が強いことは否めません.それを覆すために私はライフワークとしてより簡便なインスリン導入のハウツーを検討・紹介してきました.そのなかでも基礎インスリンを用いたBOT(basal-supported oral therapy)の普及により,以前に比べるとかなり多くの医師により,日常臨床,とくに外来診療でインスリンを使用してもらえるようになったと感じています.しかし,そこまでが限界.ステップアップや多剤の併用などが必要なレベルになってもなかなかBOTレベルを脱却できないのが現状でしょう.
 入院のインスリン治療に目を移してみてもさまざまな問題点があります.たとえばスライディングスケールの使い方.せっかく決め打ちでうまくいっている患者が他科へ入院の際,さらッとスライディングスケールに変更されてコントロールがボロボロになっているのに落胆させられることがしばしばあります.スライディングスケールを間違って使われないように我々専門医がもっと発信しないといけないのでしょう.
 さらに糖尿病科への他科からの併診依頼で多いのが,ステロイド治療中に悪化した血糖のコントロールです.BOT慣れした医師にはかえって難しいようですが,ぜひともマスターしてほしいインスリン治療です.私が研修医の頃はインスリンを始めたら経口薬は止めると習いました.現在そんなことを考えてる医師はほとんどいません.インスリン単独よりも経口薬をうまく併用することで注射回数,用量など調整することが可能です.低血糖さえ減らすことができる場合があります.
 最後はコメディカルとの協力です.インスリン治療に限りませんが,糖尿病の治療にチーム医療は欠くことができません.自分ひとりでできる思ったら大間違いです.ぜひその道の大家の考えに触れてみてください.
 以上のように,本書の内容はエビデンスというより実臨床でどのようにインスリンを使いこなすかということを具体的に指導いただけるようにこの道のプロの先生方にお願いしました.外来で,入院ですぐに役に立つこと受けあいと思います!
弘世貴久
(東邦大学 医学部 内科学講座 糖尿病・代謝・内分泌学分野 教授)
特集インスリンの使い方をマスターする
1.インスリン製剤,ペンの現状/竹内 淳
2-1. 初回治療で,入院で/吉川芙久美,弘世貴久
2-2. どうしても入院できないもうインスリンしかない外来患者/紅林昌吾
2-3. そんなとき,やめてほしいスライディングスケール/村田和也
2-4. ステロイド治療中の患者のインスリン療法/佐藤淳子
2-5. 1型糖尿病のインスリン療法,2型と何が違う?/黒田暁生,松久宗英
3-1. インスリン療法のステップアップ-BOTからの進化系-/野見山 崇
3-2. 4 回インスリン療法のステップダウン/澤木秀明
4-1. 経口血糖降下薬-BOTを中心に-/渡辺伸明
4-2. GLP-1受容体作動薬-配合剤も含めて-/渕上彩子,弘世貴久
5. チーム医療の重要性/松本一成