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月刊糖尿病 134号
レジデント第134号

AB判112頁
定価2,500円(本体2,273円+税10%)
ISBNコード:978-4-287-81134-4
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特集血液浄化療法でどのような治療ができるか?

企画編集/猪阪善隆
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 血液浄化療法と聞くと,多くの先生は血液透析を思い浮かべることであろう.実際,我が国で慢性維持透析療法を受けている患者は,2020年末で34万8千人余りに及ぶ.世界で初めて人体に対して透析治療が実施されたのは1926年であるが,何例か試みられたものの生存者はいなかった.透析療法により急性腎不全患者を救命できたのは1945年のことになる.当初急性腎不全患者に対して行われていた透析療法は,その後急速な進歩を遂げた.腎機能が廃絶した慢性腎不全患者の生命予後を改善させ,血液透析療法により40年以上も生存した患者もいる.近年の高齢化に伴い,末期腎不全の予備群となる慢性腎臓病患者は大変多い.また,薬剤などによる急性腎障害により透析を必要とすることも少なくない.血液透析について習熟しておくことは重要である.しかし,血液浄化療法は血液透析だけではない.
 血液浄化療法は血液から老廃物,あるいは有毒な物質を除去する治療方法であり,透析・濾過・吸着・分離などのさまざまな方法がある.敗血症患者に用いられていたエンドトキシン吸着カラムを用いた血液吸着療法が,最近では重症COVID-19感染患者の治療にも使用されている.薬物治療に抵抗性の心不全・肺水腫の患者に対して,身体の過剰な水分だけを除去する目的で行われる限外濾過(ECUM)が行われることもある.その他に肝不全や血栓性血小板減少性紫斑病,ステロイドや免疫抑制剤などの薬剤抵抗性の膠原病などの患者に対して,血液を血漿成分と細胞成分に分離し,血漿成分を破棄して新鮮な血漿を補うという血漿交換療法や,血球と血漿に分離した後に,その血漿を二次分離膜に通すことにより,自己抗体など特別なサイズの物質だけを取り除くことができる二重濾過血漿交換が行われることもある.また,潰瘍性大腸炎やクローン病という炎症性腸疾患の患者に対して,白血球や顆粒球の除去療法などもある.このように血液浄化療法とは,血液中に存在する病因物質を体外循環により除去し,場合によっては不足しているものを補う治療法を意味しており,適応疾患も幅広い.血液型不適合腎移植は血漿交換により,移植腎と反応する血液型抗体を除去することにより可能となった.
 ステロイドなどの薬物治療に抵抗性で,立ち上がることもできなかった患者が,血漿交換を用いて自己抗体を除去することにより,歩いて退院することができるようになる.あるいは利尿薬抵抗性の患者の循環動態を改善させることが可能となる.血液浄化療法は確かに侵襲的な治療法では あるが,薬物療法に抵抗性の病態を劇的に改善させることも可能であり,血液浄化療法でどのような治療が可能かを知ることは非常に意義がある.


猪阪善隆
(大阪大学大学院 医学系研究科 腎臓内科学 教授)

特集血液浄化療法でどのような治療ができるか?
1.末期腎不全における維持透析療法/関 桃子,土谷 健
2.急性腎障害に対する血液浄化療法/小丸陽平,土井研人
3.循環動態が不安定な患者に対する血液浄化療法/服部憲幸
4.オンラインHDF/廣瀬賢人,小川智也
5.在宅血液透析/政金生人
6.限外濾過(ECUM)/常喜信彦,日髙 舞
7.血漿交換/松浦朋彦
8.DFPP(二重濾過血漿分離交換法)/花房規男
9.血液吸着療法/山下千鶴,西田 修,森山和広
10.血漿吸着療法/塚本達雄
11.白血球・顆粒球除去療法/鈴木洋行,小林修三