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137号
レジデント第137号

AB判96頁
定価2,500円(本体2,273円+税10%)
ISBNコード:978-4-287-81137-5
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特集レジデントが知っておくべき
救急領域の外傷診療のポイント&ピットフォール

企画編集/小倉裕司
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 外傷は日常的にどこでも発生する頻度の高い救急疾患であり,その受傷機転も多彩である.令和3年の救急車の全国出動件数の内訳を見ても交通事故が約37万件,一般負傷が約95万件あり,合わせると全体の約22%を占めている.救急外来において,レジデントを含む若手医師も重症度の異なるさまざまな外傷に遭遇する機会は多く,それぞれの患者に適切に対応する能力が求められる.なかには,一見軽症そうに見えて命取りになる外傷や見落としが重大な合併症や後遺症につながる外傷もあり,診断・治療に至る適正なプロセスが重要視される.
 実際の外傷患者を目の前にしてどう対応すべきか?どんな優先順位で治療すべきか?治療と並行して評価すべき項目は?治療の最終ゴールは?など,経験と知識に基づき,日頃から頭の整理(シミュレーション)を行っておくこと が大切である.とくに,近年は高齢者の増加に伴い,併存疾患に対する抗凝固薬の服用や内因性疾患の合併など,外傷診療を進めるうえでより柔軟な対応が求められるケースも増えている.
 日本では2002 年以降,救急現場での初期診療の標準である『外傷初期診療ガイドラインJATECTM』が改訂を重ね,外傷診療の羅針盤となるだけでなく,off-the-job training のテキストとしても使用されてきた.診療面では病院前救護との連携,救急外来の準備,診療の組み立て(Primary Survey & Secondary Survey),各職種による協働,病院間搬送など外傷診療に不可欠なシステム化が本ガイドラインを基盤として徐々に確立されつつある.外傷診療に興味を持つ若手医師の方々は,参照されたい.
 本特集では,JATEC 内容なども含め,総論として外傷患者の初期診療,画像診断,輸液・輸血療法,チームアプローチのポイント,各論として頭部・顔面,胸部,腹部・骨盤,脊椎,四肢各領域の外傷および多発外傷の診療におけるポイント,さらに重症外傷に対する緊急interventional radiology (IVR),damage control surgery(DCS)のポイントなどをいずれも各領域の第一人者の先生方に取り上げていただいた.執筆にあたり,軽症・重症を問わず,各領域において若手医師が知っておくべき外傷診療のポイントとピットフォール,実際の症例における診療のコツや工夫,最新トピックスなどをご紹介いただく.
 レジデントを含む若手医師にとって外傷の臨床現場で応用できる多くの「パール」が散りばめられている.本特集 の内容が,外傷診療を多面的にサポートし,より適切な診断・治療や効果的なチーム医療につながることを祈念する.


小倉裕司
(大阪大学医学部附属病院 高度救命救急センター)

特集レジデントが知っておくべき 救急領域の外傷診療のポイント&ピットフォール
1.外傷初期診療のポイント/井上貴昭
2.外傷患者における画像診断のポイント/平木咲子,一ノ瀬嘉明
3.外傷患者に対する輸液・輸血療法のポイント/勝田 賢,久志本成樹
4.頭部外傷の診療ポイント/横堀將司
5.胸部外傷の診療ポイント/中尾彰太
6.腹部骨盤外傷の診療ポイント/内田健一郎,溝端康光
7.脊椎外傷の診療ポイント/武川竜久,石井桂輔,渡部欣忍,河野博隆
8.四肢外傷の診療ポイント/南 和伸,中川雄公
9.多発外傷の診療ポイント/冨岡譲二
10.外傷患者に対する緊急IVRのポイント/船曵知弘
11.外傷患者に対するdamage control surgery/蛯原 健,島崎淳也
12.外傷診療におけるチームアプローチのポイント/下条芳秀,渡部広明