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139号
レジデント第139号

AB判96頁
定価2,500円(本体2,273円+税10%)
ISBNコード:978-4-287-81139-9
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特集レジデントが知っておくべき 敗血症診療のポイント&ピットフォール

企画編集/小倉裕司
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 敗血症はあらゆる年齢層が罹患する重篤な疾患であり,今なお世界で年間5000万人近くが発症し,うち1000万人以上が死亡しています.発症早期からの迅速かつ適切な全身管理を必要とし,生存者も長期的にPost-Intensive CareSyndrome(PICS)などの後遺症にしばしば悩まされます.
 救急外来において,レジデントを含む若手医師も感染源の異なるさまざまな敗血症に遭遇するため,それぞれの患者に適切に対応する能力が求められます.なかには,一見軽症そうにみえて致死的になる敗血症やショックからの離脱に難渋する重症例もあり,診断・治療に至る適正なプロセスが重要視されます.同時に,集中治療に移す必要性なども短時間で判断する能力が求められます.
 実際の敗血症患者を目の前にしてどう対応すべきか?どのような優先順位で治療を進めるべきか?治療と並行して評価すべき項目は?治療の最終ゴールは?後遺症をどうしたら減らせるか?患者・家族への対応は?など,経験を積みながら,日頃から知識の整理(シミュレーション)を行うことが大切です.とくに,近年は高齢者の増加に伴い,併存疾患やその治療薬もまちまちであり,敗血症診療を進めるうえで柔軟な対応が求められるケースも増えています.
 2021年,『日本版敗血症診療ガイドライン(J-SSCG)2020』,国際版の“Surviving Sepsis Campaign Guideline(SSCG)2021”が相次いで出版されました.J-SSCG2020は,一般臨床家だけでなく多職種医療者にも理解しやすく,かつ国内外で通用する質の高いガイドラインを目指しており,急性期管理をバランスよく取り上げた診療バンドルも公開されました.一方,SSCG2021 ではlong term outcomes and goals of care などが大きく取り上げられ,患者・家族に対する長期にわたる医学的・社会的サポートの重要性などが強調されています.
 本特集では,J-SSCG2020およびSSCG2021の内容も含め,敗血症診断,感染源コントロール,抗菌薬治療,初期循環管理・ステロイド療法,呼吸管理,栄養管理,血液浄化療法DIC診療,PICS診療・リハビリ,患者・家族ケア,さらにJ-SSCG2022診療バンドルのポイントなどをいずれも各領域の第一人者の先生方に取り上げていただきました.執筆にあたり,各領域において若手医師が知っておくべき敗血症診療のポイントとピットフォール,実際の症例における診療のコツや工夫,最新トピックスなどをご紹介いただきます.
 レジデントを含む若手医師にとって敗血症の臨床現場で応用できる多くの「ポイント」が散りばめられています.本特集の内容が,敗血症診療を多面的にサポートし,より適切な診断・治療や効果的な多職種チーム医療につながることを心から願っています.


小倉裕司
(大阪大学医学部附属病院 高度救命救急センター)

特集レジデントが知っておくべき 敗血症診療のポイント&ピットフォール
1.敗血症診断のポイント:qSOFAをどう扱うか?/松田直之
2.感染源の診断とコントロールのポイント:効果的なドレナージ術は?/飛世知宏,大網毅彦,中田孝明
3.抗菌治療のポイント:適正使用とは?/石井潤貴,志馬伸朗
4.初期循環管理のポイント:ショックを迅速離脱/廣瀬智也
5.ステロイド・IVIG治療のポイント:補助療法としての効果は?/山元 良,藤島清太郎
6.呼吸管理のポイント:肺保護戦略とは?/安田英人
7.栄養療法のポイント/矢田部智昭
8.急性腎障害と血液浄化療法のポイント/井上悠太郎,土井研人
9.DIC診療のポイント:抗凝固薬の種類とタイミングは?/梅村 穣
10.Post Intensive Care Syndrome(PICS)診療・リハビリのポイント:長期予後の改善/對東俊介
11.Patient- and Family-centered care のポイント:患者・家族への視点/河合佑亮
12.『日本版敗血症診療ガイドライン2022 初期治療とケアバンドル(J-SSCG2022 バンドル)』:急性期治療を束ねて/江木盛時