HOME看護セミナー >明日から使える!患者急変の予測と対応
 患者急変では,「どう対応したら良いかわからない」「うまく対応できなくて困った」「急変で心肺蘇生がなんとかできたから良かった」と,急変後の対処にどうしても目が向いてしまいがちです。しかし,実際には患者急変の多くで何らかの前兆があったと言われています。つまり,その前兆に早く気付くことができ,早めに必要な検査や処置などの介入ができれば,心肺停止を含めた重篤化を回避できる可能性が出てくるわけです。どのようにしてこうした前兆に気付くことができるでしょうか? 経験のある看護師であればパッと見ただけで「これはおかしい! 医師を呼ばないといけない」と判断できるかもしれません。では経験をたくさん積まなければ気付くことができないのでしょうか? 経験が少なくても,前兆に気付く能力を高めるには,患者へのアプローチの仕方を身につけ,頭の中に患者急変対応のモデルをもっておくことが早道です。
 これは状況評価と予測から始まります。病棟では患者申し送りの情報,時間帯などが状況評価の要素と言えます。前回受け持った状態なども加味すると訪室する前に患者の状態を予測することができるかもしれません。
 訪室したときや外来で患者と対面したときには,まず呼吸,循環,意識,全体の印象をパッと見てみましょう。どこかに異常がありそうなら,「やばいかも」と思って初期評価として,気道は? 呼吸は? 循環は? 意識は? と慌てず順番に確認してみましょう。たとえば,呼吸状態が悪いと判断すれば,何が原因で,どのように対応したら良いでしょうか? これらを臨床推論しながら対応することで,状況に合ったベストな急変対応ができる可能性が高まります。そして初期評価後には,自分が集めた情報と所見,判断をまとめて,医師に報告する必要があります。その手法としてI-SBAR-Cがあります。これは「I」(Identify:報告者と患者の同定),「S」(Situation:患者の状態),「B」(Background:臨床経過),「A」(Assessment:状況評価の結論),「R」(Recommendation:提言または具体的な要望・要請),「C」(Confirm:指示受け内容の口頭確認)の頭文字をとったもので,的確かつ迅速に情報を伝える手段として有用です。
 セミナーの中では,このような臨床推論モデルを使いながらさまざまな症例問題にチャレンジしてもらいたいと考えています。その中でI-SBAR-Cを実践してみましょう。セミナーの最後には1日を振り返り,学んだことを現場で活かすにはどうしたら良いかアクションプランを立てていただく予定です。是非とも皆さんそれぞれの職場で明日から使える知識とスキルを持ち帰っていいただきたいと思います。


杉木大輔先生
獨協医大越谷病院 救急医療科 講師
【講師からのメッセージ】
 「患者の異常に気付くのが遅れた」「急変時の対応にどうしたらいいかわからず困った」「急変時,医師にうまく報告できなかった」という経験はありませんか?「病棟や外来で患者急変に強くなりたい」と漠然と感じてはいませんか? 強くなるには経験も必要ですが,臨床推論を意識した対応が近道です。セミナーでは急変対応の臨床推論モデルを使って,頭の中を整理し,予測,判断,行動,報告ができる看護師になりましょう。
※スマートフォンのご持参を【推奨】します。

※会場は変更となる場合がございます。予めご了承ください。
【本セミナーの目標】
1. 患者急変を予測できる
2.患者急変だと判断できる
3.患者急変時,自分がとるべき行動を説明できる
4.急変対応の臨床推論モデルを使うことができる
5.患者急変時の報告ができる

9:30〜16:30
オリエンテーション
患者急変とは・患者急変の概略を知っておきましょう
急変対応の臨床推論フレームを頭の中に作り上げる・急変対応における臨床推論モデルとは?
状況評価と予測・状況から情報収集し,急変の予測を立ててみよう
初期評価と介入・初期のアプローチはABCDです,そこから何をすべきか考えてみよう
まとめと報告・行ったことや考えたことをまとめ,急変時の報告をしてみよう
振り返り・アクションプラン作成・質疑応答・本日のセミナーを振り返って,明日からのアクションプランを作ろう
※上記内容・進行予定は,変更する場合があります。