HOME看護セミナー >看護の現場ですぐに役立つ「輸液」のキホン
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 早産率は日本では6〜8%程度で早産は未熟児出生に直結します。妊婦が入院する病気でもっとも頻度が高い疾患です。早産で生まれた未熟児には短期的にはショック、敗血症、DICなどの合併症が起こりやすく、長期的な重篤な後遺症として脳性麻痺や発達障害などがあります。早産を減らすことは周産期領域のもっとも重要なことの一つです。早産の主な原因には切迫早産と前期破水があります。切迫早産とは、早産が切迫した状態のことを指します。切迫早産の典型的症状は子宮収縮と頸管開大です。頸管の開大は内診や経膣超音波断層法における頸管長の短縮で判断します。子宮頸管長の長さについては、妊娠24週で平均約35 mm、25 mm未満となると早産のリスクが高まるとされています。
 切迫早産を引き起こす子宮頸管の軟化・子宮の張りは、原因不明であることも多いです。可能性として、細菌などへの感染による炎症が関与しているのではないかと考えられています。
 破水は卵膜が脆弱化し破綻し羊水が流出することですが、この破水が妊娠37週以降で発生すると前期破水(PROM)といい、それが妊娠37週未満ですとpreterm PROMと呼びます。一旦前期破水が発生すると破水した部位から腟内の病原細菌が上行波及し絨毛膜羊膜炎、羊水感染、胎児感染となることから早産頻度が非常に高くなります。
 早産の主たる原因である切迫早産と前期破水の原因はどちらも絨毛膜羊膜炎と言われています。絨毛膜羊膜炎は腟炎・頸管炎が上行し卵膜に炎症が波及した病態です。その上行の過程で子宮頸管や子宮筋を刺激しながら広がれば切迫早産、卵膜主体に広がれば前期破水となります。ですから早産の早期診断は絨毛膜羊膜炎の早期診断が重要です。絨毛膜羊膜炎の早期診断キットとして腟分泌液中の胎児性フィブロネクチンと頸管粘液中の顆粒球エラスターゼがあります。治療も子宮収縮を抑制することと同時に炎症の起こっている頸管や腟を治療することも大切です。講演では具体的な治療法について述べます。早産の予防対策は腟・頸管の感染、炎症を抑制することが重要となります。切迫早産や前期破水のリスクは、過去に早産もしくは切迫早産になった方、円錐切除(えんすいせつじょ)をおこなった方、多胎妊娠、細菌性腟症・頸管炎、絨毛膜下血腫、頸管ポリープ、性交渉、ストレス、齲歯・歯周病、悪い腸内細菌叢、黄体ホルモンの早期消退、子宮筋の疾患、などです。これらの予防対策について詳しく解説する予定です。予防対策のほとんどは助産師・看護師さんの保健指導で可能です。

金山尚裕 先生
浜松医科大学産婦人科教授
【講師からのメッセージ】
 早産は周産期領域のもっとも重要な疾患といっても過言ではありません。早産の原因である絨毛膜羊膜炎に至った切迫早産や前期破水は治療困難なことが多いのが現状です。早産を減らすのはなんと言っても予防対策です。予防は看護師、助産師の皆さんの保健指導が主体です。本セミナーで早産の予防法について知識を得てみなさんの力で日本の早産を少しでも減らしたいものです

※受講申込の方に直接お知らせします。予めご了承ください。
【本セミナーの目標】
1. 早産のしくみを理解できる
2. 早産の治療法を理解できる
3. 早産予防対策を理解し行うことができる

Program(10:00〜16:30)
1. オリエンテーション
2. 分娩発来機構について
3. 早産の疫学と原因
4. 切迫早産、前期破水の妊娠分娩管理について
昼食(60分)
5. 破水と羊水塞栓症について
6. 妊娠高血圧症候群について
6. 早産の予防対策
※上記内容・進行予定は,変更する場合があります。