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消化器内科 第8号(Vol.2 No.7,2020) SOLD OUT |
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2020年6月25日発売
A4変型判/128頁
定価4,400円(本体4,000円+税10%)
ISBNコード:978-4-287-92008-4
全ページカラー印刷
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特集●上部消化管の偽陰性癌-その癌見逃していませんか?-
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企画編集/平澤俊明(がん研有明病院上部消化管内科 副部長)
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画像をクリックするとサンプルをご覧いただけます |
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胃内視鏡検診に対策型検診としての有効性が認められたことから,内視鏡による検診は多くの自治体で導入されるようになった.その中での現在の課題は「偽陰性癌」,つまり“見逃し癌”をいかに減らすか,ということである.内視鏡診断は経験に左右されることが多く,腫瘍の発見率は内視鏡医によって違う.以前から問題となっているスキルス胃癌の他に,最近増加傾向にあるBarrett食道腺癌も,毎年内視鏡を行っているにもかかわらず進行した状態で発見されることが少なくない.このように,内視鏡検査による「偽陰性癌」は古くから議論されてきている問題であるが,未だに解決できていない,そして初学者から熟練医まで多くの内視鏡医が興味を持っている領域でもある.
なぜ,見つけられないのか? 見逃さないコツは? 偽陰性の法的解釈は? 胃内視鏡検診の精度管理対策は? そのような臨床現場の疑問に答えるために,今回の特集を企画した.
口腔咽頭領域に関しては,以前ならば消化器の医師は管轄外という認識であり,反射を誘発することもあって,ほとんど観察されることはなかった.しかし,近年では消化器内視鏡で発見される咽頭癌も増加し,high volume centerを中心に,ESDにより咽頭喉頭を温存できる低侵襲治療が行われている.消化器内視鏡医による咽頭観察が必須の時代となり,自分の専門外と言って逃げることはできない状況である.
食道癌も,手術と内視鏡治療の侵襲度は大きく違う.食道癌は内視鏡治療で根治できる段階で発見すべきであるが,逐年の内視鏡検査にもかかわらず,発見時には内視鏡治療の適応外という症例も経験する.また,咽頭癌,食道癌は問診によりハイリスク群の囲い込みが可能であり,リスクに応じて観察のメリハリをつけることが望ましい.
食生活の欧米化とHelicobacter pylori(ピロリ菌)感染率の大きな低下により,近年GERDが増えてきており,このような変化に伴いBarrett食道腺癌が増加傾向にある.Barrett食道腺癌は足が速い症例も多く,ちょっとした発赤に気が付かないと,翌年には粘膜下層浸潤癌,ということもめずらしくはない.
胃癌に関しても,ここ数年で大きな変化がある.ピロリ菌除菌が保険適応となったことに伴い,発見がより困難な除菌後胃癌に遭遇するようになったからである.また,ピロリ菌未感染胃癌は背景に炎症がない分,その特徴さえ知っていれば容易に発見できるが,そもそもの頻度が低いため,実際に経験したことがない医師も多いであろう.このように胃癌診断学は以前のピロリ菌現感染に発生する胃癌と相違が生じているため,新しい胃癌診断学にブラッシュアップしなくてはならない.
十二指腸に関しても,球部のNETや下行部の腺腫は比較的見かけるようになってきた.病変によっては安易な生検が,後の内視鏡治療の大きな障害になる点も注意喚起が必要である.
本特集はエキスパートの内視鏡医を中心に執筆を依頼し,偽陰性癌の頻度,法的問題,咽頭から十二指腸まで癌の拾い上げのコツについて,具体的かつ実践的な内容で書いていただいた.見逃しが致死的な状況につながるスキルス胃癌や,最近のトピックスであるBarrett食道腺癌,ピロリ菌未感染胃癌,除菌後胃癌,自己免疫性胃炎,十二指腸腫瘍についても項を割いた.また,内視鏡による対策型胃がん検診での偽陰性癌に対する取り組みについても取り上げた.まさに臨床医が知りたい事項を網羅したと考えている.
月刊誌の特集号であるが,単行本として出版しても内容に遜色はない.本特集を読めば,明日からの内視鏡診療が変わる! そのようなインパクトのある特集号である.ぜひご一読いただきたい.
平澤俊明 がん研有明病院上部消化管内科 副部長
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1. 上部消化管内視鏡検査の偽陰性癌 -癌はこんなに見落とされている?-/ 岡村卓真,関口正宇,小田一郎,松田尚久
2. 癌偽陰性に対する法的問題-見逃しは法で裁かれる?-/日山 亨
3. 口腔・咽喉頭の内視鏡観察 -消化管内視鏡でも必ずチェック!-/青山直樹,矢野友規
4. 食道の観察法 -見逃していませんか?その食道癌-/川田研郎
5. 食道胃接合部の観察法 -Barrett食道腺癌を見逃すな!-/田中一平,平澤 大
6. 盲点を意識した胃内視鏡観察法 -こんなところに胃癌が!-/菓 裕貴,野中康一
7. 背景粘膜を意識した胃内観察法 -メリハリのある内視鏡検査-/塩月一生,滝沢耕平
8. 同時性・異時性胃癌の発見のコツ -1つ見つけたら2つ目を探す-/井上貴裕,上堂文也
9. 除菌後胃癌発見のコツ -見つけにくい除菌後胃癌はここに注目!-/若槻俊之,万波智彦
10. スキルス胃癌を見落とさないコツ -絶対見逃さないこの所見-/入口陽介
11. ピロリ菌未感染胃癌発見のコツ -特徴ある所見に注目!-/平澤欣吾,佐藤知子,立石陽子
12. 自己免疫性胃炎の観察法のコツ -意外に多い! A型胃炎-/丸山保彦
13. 十二指腸の観察 -今,注目されている領域-/加藤元彦
14. 対策型胃内視鏡検診における見逃し対策 -検診の質の均てん化を目指して-/辰巳嘉英
15. 見逃さない上部消化管内視鏡検査 -内視鏡アトラスの紹介-/平澤俊明
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