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消化器内科 第11号(Vol.2 No.10,2020) |
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2020年9月25日発売
A4変型判/112頁
定価4,400円(本体4,000円+税10%)
ISBNコード:978-4-287-92011-4
全ページカラー印刷
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企画編集/藤崎順子(がん研有明病院消化器内科上部消化管内科 部長)
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胃癌の原因は,99%がHelicobacter pylori(ピロリ菌)感染といわれている.これからの胃癌は,背景にピロリ菌が存在しない,未感染,もしくは除菌後の背景からできる胃癌である.2013年にピロリ菌感染の保険収載後,除菌後胃癌の頻度が高まり,さらにピロリ菌感染率も低下している.ピロリ菌未感染背景から発症する胃癌は,胃癌全体の1%以下といわれている.ピロリ菌陰性時代に入ると胃癌は高齢者の癌になり,徐々に減少傾向となることが予想される.ピロリ菌陰性時代(未感染,除菌後)の早期胃癌の特徴は多くの報告があり,未感染では印環細胞癌,胃底腺型胃癌,低異型度腺窩上皮型胃癌,腸型胃腸混合型分化型腺癌が報告されている.しかし頻度は少なく,未感染胃癌はslow growingな病変が多いことが報告されている.除菌後では,地図状発赤など腸上皮化生の胃癌リスク因子が挙げられている.一方で,未感染,除菌後の未分化型癌やSMに浸潤する胃癌,進行胃癌の報告が最近散見されている. 今回の特集では,ピロリ菌未感染,除菌後に発見された早期胃癌の特徴について,豊富な経験と知識の先生方に執筆をお願いした.まず未感染の項目では,未感染の定義について虎の門の田中先生にお願いした.最近では20代に除菌し,除菌後の胃粘膜からは未感染なのか除菌後かを迷う場合もあり,定義が重要となってくる.定義が曖昧になると,そこから生まれるデータの信憑性が低下し,重要な部分である.そして定義がはっきりしたところで,未感染に出てくる早期胃癌をそれぞれ,印環細胞癌,胃底腺型胃癌,胃底腺粘膜型腺癌,ラズベリー様腺窩上皮型胃癌,低異型度胃型腫瘍,前庭部腸型胃癌について,多数の症例を経験している吉村先生,上山先生,,柴垣先生,城間先生,丸山先生に書いていただいた.日本で最もこれらのrare casesを経験された先生方にお願いしたので,読者にとって,説得力のある内容であることは間違いないと考えられた.
次にさらに問題の多い除菌後胃癌であるが,こちらも私自身が知りたかった内容を役得とばかりに選び,これもその道のエキスパートの先生方にお願いした.除菌後胃癌のシンポジウムやパネルディスカッションなどはいつも学会で満席のセッションであり,内視鏡医の第一の関心領域である.除菌後は,内視鏡検査をいつまで,どの間隔でうけるのかは,現状では明確な答えなしである.除菌後長期観察後に発見された胃癌や長期経過観察した場合の胃癌の傾向を鎌田先生と武先生,除菌後浸潤癌について小林先生,除菌後胃癌発見のコツを八木先生,除菌後の表層上皮の変化を小刀先生,除菌後胃癌発見におけるLCIの有用性を北川先生と,各項目とも大変興味深く,この号を読むことで3回分ぐらいの除菌後胃癌の学会セッションを網羅するぐらいの重みがあると信じている.
今後の内視鏡診療を行っていくにあたり,読者の先生方の日々の臨床に役立てたい.
藤崎順子 がん研有明病院消化器内科上部消化管内科 部長
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1.ピロリ菌未感染の定義と未感染胃癌の典型例/田中匡実,菊池大輔,布袋屋 修
2-1. 印環細胞癌/吉村大輔,吉村理江
2-2. 胃底腺型胃癌/上山浩也,八尾隆史,永原章仁
2-3. ラズベリー様腺窩上皮型胃癌/
柴垣広太郎,三代 剛,川島耕作,荒木亜寿香,丸山理留敬,石原俊治
2-4. 前庭部腸型胃癌/城間 翔,堀内裕介,藤崎順子
2-5. 低異型度胃型腫瘍/丸山保彦
3-1. ピロリ菌除菌後長期(10年以上)経過観察後に発生した胃癌の特徴/鎌田智有
3-2. 除菌後未分化型胃癌/武 進,石木邦治,水野元夫
3-3. 除菌後浸潤胃癌を早期発見するためのコツ/
小林正明,盛田景介,菅野智之,青栁智也,栗田 聡,塩路和彦,小方則夫
3-4. 除菌後胃癌発見のコツ/八木一芳,寺井崇二
3-5. 除菌後の組織学的変化(低異型度上皮)が内視鏡診断,治療に及ぼす影響/
小刀崇弘,伊藤公訓,田中信治,茶山一彰
3-6. 除菌後胃癌の見落とし率低減に向けたLCIの有用性について/北川善康,鈴木拓人
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