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BEAUTY 18年創刊号
消化器内科 第16号(Vol.3 No.3,2021)

2021年2月25日発売
A4変型判/112頁
定価4,400円(本体4,000円+税10%)
ISBNコード:978-4-287-92016-9

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特集●消化器領域のがん薬物療法ー最近の動向ー

企画編集/古瀬純司
(杏林大学医学部腫瘍内科学教室 教授)
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 今回の特集では,消化器領域におけるがん薬物療法の最近の動向を取り上げます.
 わが国のがんの統計によると,新規の年間がん罹患数は約100万人であり,毎年2万人弱増え続けています.その内,大腸,胃,肝・胆・膵,食道がんの罹患数は約42万人と40%以上が消化器がんです.つまり,患者数だけをみても消化器がんの重要さがわかります.
 消化器がんの予後は,年々改善しています.がん治療は根治切除が基本ですが,薬物療法の進歩が予後の改善に大きく寄与していることは言うまでもありません.切除不能な患者だけでなく,切除可能例においても食道癌では術前補助療法,胃癌,大腸癌および膵癌では術後補助療法が標準治療として行われ,最近では膵癌に対する術前補助療法もガイドラインに記載されています.消化器癌では,疾患ごとに薬物療法の位置づけ,適応が異なり,それぞれのエビデンスを確認することが大切です.
 がん薬物療法は,分子標的治療薬,免疫チェックポイント阻害薬,がんゲノム解析に基づいた薬剤選択など,大きく変わってきています.消化器領域のがんは,食道,胃,大腸の消化管と肝・胆道・膵に加え,神経内分泌腫瘍や消化管間質腫瘍(GIST)など,それぞれのがん種に応じた治療選択が必要となります.切除不能例はもちろん,切除手術の補助療法もがん種により適応や薬剤選択が異なります.最近では,臓器にかかわらないバイオマーカーに応じた薬剤の適応も増えてきています.遺伝子パネル検査など,遺伝子解析による薬剤選択や,高齢患者に対する薬剤選択,安全管理など,臓器横断的な進歩や課題も少なくありません.
 今回,消化器がんに絞ったがん薬物療法として,臓器別の最新の進歩や今後の展望,さらに遺伝子パネル検査やcirculating tumor DNAなどの遺伝子解析に基づく治療選択,高齢がん患者の治療について,それぞれのエキスパートにご執筆いただきました.まさにタイムリーな特集になったと思っております.
 本書を通じて消化器がんの診療や研究に携わるみなさまに,消化器がん薬物療法の最新情報をキャッチいただければ幸いと存じます.
 

古瀬純司
杏林大学医学部腫瘍内科学教室 教授


1. 胃がんに対する薬物療法/水上拓郎
2. 大腸癌の術後補助療法 -最適な使い分け-/岡野尚弘,長島文夫,古瀬純司
3. 切除不能進行再発大腸癌に対する薬物療法/黒崎 隆,川上尚人
4. 食道癌に対する薬物療法/小森 梓,廣中秀一
5. 膵癌に対する薬物療法/戸髙明子
6. 胆道癌に対する薬物療法/上野 誠
7. 肝細胞癌に対する薬物療法/寺島健志
8. 消化器・膵神経内分泌腫瘍に対する薬物療法/肱岡 範
9. GISTに対する薬物療法/尾阪将人
10. 消化器癌におけるがん遺伝子パネル検査/金井雅史
11. 消化器癌におけるcirculating tumor DNA(ctDNA)の意義と今後の動向/石井貴大,中村能章
12. 高齢者のがん薬物療法/松岡 歩