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消化器内科 第23号(Vol.3 No.10,2021) |
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2021年9月27日発売
A4変型判/112頁
定価4,400円(本体4,000円+税10%)
ISBNコード:978-4-287-92023-7
全ページカラー印刷
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企画編集/八尾隆史
(順天堂大学大学院医学研究科 人体病理病態学 教授)
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消化管には,種々の腫瘍性疾患に加えて,感染症(H. pylori,ウイルス,真菌,梅毒,腸管スピロヘータ症,アメーバ赤痢,細菌感染性腸炎,結核など),薬剤・化学物質による傷害(NSAIDs,PPI,抗癌剤,胆汁逆流など),虚血性腸炎,炎症性疾患(好酸球性胃腸炎,A型胃炎,セリアック病,Lymphocytic enteritis,collagenous colitis,潰瘍性大腸炎,クローン病など),沈着症(アミロイドーシス,ランタン沈着症など),粘膜脱症候群,腫瘍様病変(過形成性,過誤腫性,迷入組織など)などさまざまな非腫瘍性疾患がある.
消化管を専門としていない病理医がすべての消化管疾患を確実に診断することは現実的には困難であり,誤診の防止と確定診断には,消化管を専門としている内視鏡医が臨床情報や鑑別診断を病理医へ伝えることに加え,病理と討論するための病理学的知識を身につける必要がある.
確定診断には生検の有効活用が重要であるが,それぞれの疾患における生検の有用性を理解した上で,適切な部位から適切な個数の生検採取を行う必要がある.そして,生検は病変の一部しか採取されないため,生検のみでは確定診断できない病変の存在も知っておく必要がある.また,異型を示す非腫瘍性病変(逆流性食道炎,好酸球性食道炎,粘膜脱症候群,Lymphomatoid gastropathyなど)は悪性と誤診される危険性があり,逆に低異型度の悪性腫瘍(低異型度の癌やリンパ腫など)は非腫瘍性あるいは良性腫瘍と誤診される危険性があり,誤診防止にはこのような病変の病理組織像の理解が必要であり,それに対応した内視鏡像を把握しておくことが重要である.
本特集では,内視鏡医に病理学的知識を習得していただくことを目指して,まずは基本的事項(総論)として,生検病理診断に必要な臨床情報について藤原先生に,病理診断に適した検体について二村先生に執筆していただいた.そして,重要な非腫瘍性疾患の病理学的特徴の理解として食道疾患について森永先生に,胃疾患について九嶋先生に,IBD以外の炎症性腸疾患について伴先生に,IBDについて林先生に執筆していただいた.生検のみでは確定診断が困難な病変が存在することも知っておく必要があり,それらのうち内視鏡的粘膜切除が診断に有用である疾患について八尾が執筆した.さらに,病理診断と臨床診断の乖離を生じる危険性のある病変(とくに良悪性の鑑別が問題となる病変)の存在とそれらの組織像の理解のために,食道病変について根本先生に,胃病変について牛久先生に,腸病変について下田先生に執筆していただいた.また,病理診断に用いられる特殊染色の知識は病理報告書の理解も必要であり,非腫瘍性病変に関しては海崎先生に,腫瘍性病変を新井先生に執筆していただいた.
内視鏡医自身で病理診断することはなくとも,病理学的知識の理解を深めることで組織像と内視鏡像との対応を念頭に置いて病変の観察を行うよう心がけ,生検組織診断の有効活用に役立てていただきたい.
八尾隆史
順天堂大学大学院医学研究科 人体病理病態学 教授
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1. 生検病理診断に必要な臨床情報/藤原美奈子
2. 病理診断に適した検体とは/二村 聡
3-1. 生検が確定診断に有用な非腫瘍性食道疾患の病理学的特徴/森永友紀子,岸本光夫
3-2. 生検が確定診断に有用な非腫瘍性胃疾患(胃炎・胃症)の病理学的特徴/九嶋亮治
3-3. 生検が確定診断に有用なIBD以外の非腫瘍性腸疾患の病理組織学的特徴/伴 慎一
4. IBDの病理学的特徴と生検組織診断の有用性/林 宏行
5. 内視鏡的粘膜切除が確定診断に有用な消化管疾患の病理学的特徴/八尾隆史,和田 了,岡野 荘
6-1. 良悪性の鑑別が問題となる食道病変の病理学的特徴/根本哲生
6-2. 良悪性の鑑別が問題となる胃病変の病理学的特徴/牛久哲男
6-3. 良悪性の鑑別が問題となる腸病変の病理学的特徴/会澤大介,岩男 泰,下田将之
7. 消化管非腫瘍性病変の病理診断における特殊染色の有用性/海崎泰治
8. 消化管腫瘍性病変の病理診断における特殊染色の有用性/新井冨生
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