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月刊糖尿病 120号
消化器内科 第24号(Vol.3 No.11,2021)

2021年10月25日発売
A4変型判/112頁
定価4,400円(本体4,000円+税10%)
ISBNコード:978-4-287-92024-4

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特集●膵癌の診断と治療 -最新の話題-

企画編集/海野倫明
(東北大学大学院医学系研究科 外科病態学消化器外科学分野 教授)
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 膵癌は固形癌の中で最も予後不良な「最凶の癌」と呼ばれる.好発患者の絞り込みが難しく,また自覚症状が少ないため発見時には進行癌であることが多い.解剖学的にも後腹膜に存在する臓器で,十二指腸や胃,胆管,脾臓などの臓器と接し,また腹部大動脈や下大静脈,門脈,上腸間膜動脈などの重要血管と近接していることから,手術は難易度が高く,浸潤のため手術が不可能となる症例も多い.その一方で,治癒切除ができた症例であっても術後早期に再発することもまれではなく,外科医が無力感を抱えることもしばしばであった.このように暗黒時代が長く続いたのであるが,中世にルネッサンスが訪れたように,ついに膵癌も暗黒時代が終わり,新しい時代が訪れようとしている.このような観点から,内科・外科・放射線科の12名のエキスパートによる「膵癌の診断と治療-最新の話題-」の特集を企画した.
 近年,膵臓癌の早期診断が可能になりつつある.これは疫学研究,遺伝子解析,実験動物モデル,病理学的検討などによる膵癌発生機序の解明が寄与しているものと思われる.膵癌研究を先導する3名の先生からこれらを概説していただいた.
 各種画像診断の発展も,膵癌の治療成績向上に大きく貢献している.EUS/US,MRI/CTについてそれぞれのスペシャリストに解説していただいた.また,EUS-FNAにより従来困難であった組織生検が可能となり,手術や化学療法に大きく貢献している.膵癌のEUS-FNAによる組織生検の重要性についても別途解説していただいた.
 早期診断が可能となり化学療法の発展も著しいが,現在においても治療の中心は外科手術である.近年,切除可能性分類に従った治療方針を立てることが一般的になり,内科医にも手術関連の基本的知識が必須となったと考える.この点を踏まえ,切除可能性分類,膵癌の標準手術,周術期補助化学療法,コンバージョン手術について,外科手術のエキスパートから内科医向けにわかりやすく解説していただいた.最後に,切除不能膵癌に対する化学療法と,重粒子線治療を含めた放射線治療について最新のトピックスを取り上げた.
 本特集により,膵癌に対する最新の話題を提供することで,社会に広く浸透し,さらに治療成績が向上することを期待している.「最凶の癌」から脱し,「治る癌」への新たな時代の訪れを読者とともに迎えたいと考えている.


海野倫明
東北大学大学院医学系研究科 外科病態学消化器外科学分野 教授



1. 膵癌の疫学とリスクファクター/滝川哲也,菊田和宏,正宗 淳
2. 膵癌の病態 -遺伝子異常-/佐藤賢一
3. 膵癌の病理学的トピックス/古川 徹
4-1. 膵癌診療における超音波・超音波内視鏡の最新の話題/岡庭信司,比佐岳史
4-2. 画像診断 -MRIとCT-/戸島史仁,蒲田敏文
5. EUS-FNAによる膵癌の病理診断/菅野 敦
6. 膵癌取扱い規約と切除可能性分類/石田晶玄,水間正道,海野倫明
7. 膵癌手術/五十嵐隆通,渋谷和人,山峯直樹,吉岡伊作,藤井 努
8. 膵癌の術前・術後補助療法/水間正道,海野倫明
9. コンバージョン手術/山本智久,里井壯平,山木 壮,橋本大輔,関本貢嗣
10. 切除不能膵癌に対する薬物療法/小林 智,上野 誠
11. 切除不能膵癌に対する放射線治療 -重粒子線治療-/篠藤 誠,瀧山博年,山田 滋