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月刊糖尿病 120号
消化器内科 第28号(Vol.4 No.3,2022)

2022年3月25日発売
A4変型判/96頁
定価4,400円(本体4,000円+税10%)
ISBNコード:978-4-287-92028-2

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特集●体外式超音波による消化管疾患の診断

企画編集/畠 二郎
(川崎医科大学検査診断学(内視鏡・超音波)教室 教授)
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 日本において超音波というモダリティはCTやMRIの陰に隠れた地味な存在であり,場合によってはあってもなくてもいいものと見なされているように感じることがある.特に救急の現場において,何はともあれまずCTという風潮がそれを物語っている.しかしながら近年救急の現場などでの超音波の有用性が高く評価されるようになり,point-of-care超音波として国際的に注目され,数多くの論文が報告されている.現在はその有用性を議論する時期は過ぎ,いかに医師や学生に超音波を教育するかに関心が移りつつある.本来超音波はその非侵襲性,簡便性,リアルタイム性,さらに広い普及度などから診療における第一選択的検査ともいえ,この国際的な動向は何ら不思議ではない.
 一方,消化管疾患の診療を専門とする医師にとって,超音波はさほど馴染み深いものではない.壁が薄い,ガスが邪魔,オリエンテーションがつかないなど,一般的に消化管の超音波診断に対してネガティブなイメージがあるが,実際には腫瘍性,炎症性疾患の多くが体外式超音波により描出され,その診断すら可能である.特に急性腹症など,消化器内科医の伝家の宝刀である内視鏡が施行困難な状況においても,超音波は多大な威力を発揮する.さらに近年では炎症性腸疾患(IBD)における局所活動性モニタリングとしても注目を集めるようになり,海外ではすでに臨床応用されている.簡単に言えば,粘膜の微細な変化をみるには内視鏡,貫壁性の情報を得るには超音波が適しており,両者は対極に存在するのではなく相補的な関係である.この両者のバランスが偏っているということは,日常診療が偏った情報に基づいている,あるいは過剰な侵襲を患者に与えているなどの可能性も危惧される.
 本特集では,どのように消化管をスクリーニングするか,画像解析はどう進めていくかという消化管超音波診断の総論的事項とともに,各論では胃や小腸,大腸など各領域における腫瘍性・非腫瘍性疾患の診断,また近年話題となっているIBDの超音波診断ならびに活動性モニタリング,さらには一般的に診断が容易でないとされている腸管虚血の診断などについても解説する.執筆陣は,実際に消化管超音波診断を自らが第一線で行っておられる医師・技師の方々を厳選しており,退屈な一般論ではなく臨床的で説得力のある内容となっている.どの章においても,超音波は単なるスクリーニング法ではなく,診断すら可能な精密画像診断法であることがご理解いただけるであろう.
 以前から,企画者は消化管超音波診断が消化管疾患のより効率的かつ効果的な診療において不可欠であると訴えてきたが,その普及を妨げている要因に消化管専門医の認識不足もあげられる.是非本特集をご一読いただき,消化管疾患にはまずエコー,というパラダイムシフトが生まれれば望外の喜びである.


畠 二郎
川崎医科大学検査診断学(内視鏡・超音波)教室 教授



1-1. 消化管の基本走査法と各部位の正常像/長谷川雄一,万代恭史
1-2. 消化管の異常像と解析の手順/畠 二郎,今村祐志,中藤流以,眞部紀明
2-1. 上部消化管の腫瘍性病変に対する体外式超音波検査/豊田英樹
2-2. 胃・十二指腸の非腫瘍性病変/長谷川雄一,万代恭史
2-3. 小腸の腫瘍性病変/高田珠子,畠 二郎,中藤流以,今村祐志
2-4. 小腸の非腫瘍性病変/西田 睦
2-5. 大腸の腫瘍性病変/岩崎信広,鄭 浩柄,猪熊哲朗
2-6. 大腸・虫垂の非腫瘍性病変/多田明良,畠 二郎
2-7. 潰瘍性大腸炎の診断と活動性評価/木下賢治,桂田武彦,西田 睦
2-8. クローン病に対する体外式超音波検査,診断,活動性評価/
西田大恭,国崎玲子,谷口勝城,佐藤 翔,沼田和司
2-9. 腸閉塞の超音波診断/畠 二郎,今村祐志,中藤流以,眞部紀明
2-10. 腸管虚血の超音波診断 -SMA塞栓症,NOMIなど-/今村祐志