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消化器内科 第34号(Vol.4 No.9,2022) |
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2022年10月25日発売
A4変型判/96頁
定価4,400円(本体4,000円+税10%)
ISBNコード:978-4-287-92034-3
全ページカラー印刷
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企画編集/千葉 勉
(関西電力病院 名誉院長/京都大学 名誉教授)
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WHO Classification of Tumors: Digestive System Tumoursの改訂版が2019年に発行され,その中で神経内分泌腫瘍(neuroendocrine neoplasm:NEN)についても改訂がなされた.その結果,NENの概念はかなり整理されてきたものの,2010,2017,2019年と頻回に改訂されてきたのは,NENについてはいまだにさまざまな考え方が存在するからだと思われる.実際,NENは同じ上皮系の腫瘍の中でも,他の上皮性がんとはいろいろな点で異なっているが,そもそもNENとは何者か,という基本的な問いに対しても長く議論されてきた経緯がある.実際neuroendocrineという名称そのものも,Pearceらが「神経細胞と内分泌細胞の由来が同じである」と提唱した時代の歴史的な名残であり,今では神経細胞と内分泌細胞の由来が別であることは周知の事実となっている.私が医師になったころには,膵内分泌腫瘍はAPUD(amine precursor uptake and decarboxylation)omaと称されて,神経細胞由来か内分泌細胞由来か真剣に議論されたくらいである.現在ではNENは単に,「神経細胞と内分泌細胞それぞれの形態や分子の発現をあわせもった上皮系腫瘍」と定義されており,NETはおそらくenteroendocrine cell(EEC)由来,NEC はnon-endocrine cell(non-EEC)由来と考えられているが,一方で胃の内分泌腫瘍(ECL カルチノイド)のように明らかに内分泌細胞由来のNEN(この場合はendocrine neoplasia と呼ぶべき)も存在することから,NENという名称自体が多くの誤解を産んでおり,この病名が適切かどうかいまだに疑問の余地が残されている状態である.
とはいえ臨床現場におけるNENの理解,診断,治療はここ数年大きく進歩してきた.特にソマトスタチンアナログによる診断,治療法の開発はNENの診療に大きく貢献しており,わが国でもその治療法が,最近臨床現場に導入されたところである.
私は正しい診療を実践していくためには,疾患の病因,病態の理解がきわめて重要であると常々思っている.そこで本特集では,まずNENの由来も含めた基礎的な研究(オルガノイド研究,網羅的遺伝子解析,動物によるlineage tracing研究など)に焦点をおいた.さらにそのうえで,2010年以来改訂を重ねてきたWHO分類や日本のガイドラインを紹介いただき,各消化器臓器のNENについて,それぞれの特徴,その異同にも照準を当てつつ,分類,診断,治療法などについて,最新の知見も紹介いただくこととした.
繰り返しになるが,NENの由来も含めた基礎的な知識の上にNENを系統的に理解することによって,診断,予後,さらには新しい治療法の差別化(個別化)などを考えることが重要であることを強調したい.本特集が,日常臨床の一助となることを念願している.
千葉 勉
関西電力病院 名誉院長/京都大学 名誉教授
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1. オルガノイド解析からみた消化管神経内分泌腫瘍/川﨑健太,佐藤俊朗
2. 神経内分泌腫瘍のオミックス解析/赤星径一,工藤 篤,上田浩樹,小野宏晃,田中真二,田邉 稔
3. 消化器神経内分泌腫瘍におけるWHO分類の変遷/笹野公伸,渡邊裕文,角掛純一,藤島史喜
4. 膵・消化管神経内分泌腫瘍診療ガイドライン2019(第2版)/伊藤鉄英,高松 悠,植田圭二郎,藤森 尚
5. 胃NENの分類と発症機序 ―自己免疫性胃炎を中心に―/春間 賢,鎌田智有,村尾高久,角 直樹,綾木麻紀,眞部紀明
6. ピロリ菌感染と胃カルチノイド/佐藤祐一
7. 直腸NETの診断・治療および治療後経過/関口正宇,関根茂樹
8. 膵神経内分泌腫瘍の網羅的ゲノム解析/垣内伸之,平野智紀,児玉裕三
9. ソマトスタチン受容体を用いた膵・消化管神経内分泌腫瘍の画像診断/三宅可奈江,中本裕士
10. NETの治療 ―外科の立場から,転移性腫瘍も含めて―/工藤 篤,田邉 稔
11. 膵・消化管神経内分泌腫瘍の内科治療 ―ゲノム解析/バイオマーカー研究を踏まえて―/肱岡 範
12. 膵内分泌腫瘍に対するソマトスタチン受容体を標的とした放射線治療(PRRT)/河本 泉,柳原一広,岡田 務,板垣 康,多代尚広
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