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月刊糖尿病 10年4月号
月刊糖尿病4月号 SOLD OUT

2010年3月23日発売
A4変型判/152頁
価格:本体2,500円+税
ISBNコード:978-4-287-82011-7
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特集2型糖尿病治療の新時代 治療薬選択のパラダイムシフト
編集企画/門脇 孝
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目次 特集 特集 特集
 日本人などアジア人は,遺伝的にインスリン分泌低下の体質を有しており,食後高血糖が特徴的である.一方で,欧米型生活習慣の普及による肥満・内臓脂肪蓄積によるメタボリックシンドロームやインスリン抵抗性が,糖尿病増加の直接の引き金となっている.さらに第3の病態ともいうべきは,インクレチン効果の低下である.日本ではこのような,もともと日本人に特徴的な病態と欧米型生活習慣による変化が相まって,食後高血糖とメタボリックシンドロームの病態が重積し,それに伴い合併症の病態も変化してきた.
 糖尿病治療においては,細小血管症のみならず大血管症を十分抑制することが求められている.そのための治療戦略として,早期・軽症から食後高血糖も含めた厳格なコントロールの重要性が,改めて明らかにされている.従来,2型糖尿病の治療には,種々のインスリン注射製剤に加え,経口薬として5種類の薬剤が用いられていた.しかし,従来の薬剤を組み合わせることにより厳格血糖コントロールを目指そうとする際に,しばしばハードルとなってきたのが,血糖低下療法に伴う低血糖・体重増加の問題である.また,長期にわたり厳格血糖コントロールを達成するためには,いかに膵β細胞機能の低下を抑制し,その機能を保護・温存するかが問題となる.
 このようななかで,昨年12月にDPP-4阻害薬であるシタグリプチンが発売され,本年1月には,DPP-4阻害薬であるビルダグリプチンも製造承認された.また,GLP-1誘導体であるリラグリチドも,本年1月に製造承認された.これらは総称してインクレチン関連薬と呼ばれ,上に挙げた糖尿病治療の課題に応える治療のパラダイムシフトに繋がる可能性が期待されている.
 本特集は,2型糖尿病治療の新時代と題して,最近のエビデンス,種々の糖尿病治療ガイドライン,個々の糖尿病治療薬の作用機序,糖尿病治療薬の併用法から,糖尿病治療の副作用や開発中の糖尿病治療薬に至るまで,日本の第一線の研究者にご執筆いただいた.大変タイムリーな特集であり,糖尿病薬の的確かつ適正な使用と糖尿病臨床のアップデートのために多くの方に役立てていただければ幸いである.
門脇 孝
(東京大学大学院 医学系研究科 糖尿病・代謝内科 教授)
[特集]2型糖尿病治療の新時代 治療薬選択のパラダイムシフト
特集にあたって(門脇 孝)
1. 2型糖尿病治療薬選択の考え方 -長期間の血糖管理からの視点(β細胞保護を含めて)(松田昌文)
2. 2型糖尿病治療薬選択の考え方-血管合併症抑制からの視点(植木浩二郎)
3. 現行の糖尿病治療薬選択のガイドライン1)日本(佐倉 宏)
4. 現行の糖尿病治療薬選択のガイドライン2)ADA/EASD(西村理明)
5. 現行の糖尿病治療薬選択のガイドライン3)NICE Guideline 2009(山内敏正 他)
6. 現行の糖尿病治療薬選択のガイドライン4)AACE/ACE Guideline 2009(山田祐一郎 他)
7. 治療薬の作用機序,特徴,エビデンス 1)-SU・グリニド薬(小田原雅人 他

8. 治療薬の作用機序,特徴,エビデンス 2)α-GI(河盛隆造)
9. 治療薬の作用機序,特徴,エビデンス 3)ビグアナイド薬(武井 泉 他)
10. 治療薬の作用機序,特徴,エビデンス 4)チアゾリジン薬(洪 尚樹)
11. 治療薬の作用機序,特徴,エビデンス 5)インスリン(荒木栄一)
12. 治療薬の作用機序,特徴,エビデンス 6)インクレチン標的薬(稲垣暢也 他)
13. 糖尿病治療薬の併用療法1)経口糖尿病薬の併用(出雲博子)
14. 糖尿病治療薬の併用療法 2)BOT(大杉 満)
15. 糖尿病治療薬の副作用 1)低血糖(難波光義 他)
16. 糖尿病治療薬の副作用 2)体重増加(戸邉一之 他)
17. 開発中の新規糖尿病治療薬(加来浩平 他)

[連載]糖尿病に合併する感染症 企画:永淵正法
〈第10回〉レジオネラ(宮本比呂志 他)