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月刊糖尿病 11年8月号
月刊糖尿病8月号 SOLD OUT

2011年8月22日発売
A4変型判/128頁
価格:本体2,500円+税
ISBNコード:978-4-287-82028-5
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特集高齢者の糖尿病管理

企画編集/横野浩一
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目次 特集 特集 連載
 日本は世界に類をみないスピードで高齢化が進行しており,2005年には65歳以上の高齢者人口は全人口の21 %を超え世界で初めて「超高齢社会」に突入した.一方,少子化・人口の減少に伴う経済社会の変化とともに,個人を取り巻く身近な環境にも変化が生じ,高齢者の独り住まいの増加,現役世代の負担の増大,さらには子供の健全な成長への影響が懸念されている.このような環境の変化は代表的な生活習慣病である糖尿病の発症や病態,さらにはその治療・管理にも大きな影響を与えるものと推測される.糖尿病のよりよい治療と管理のためには,患者自身が十分な認識を持って自己管理を継続することが必須である.
 一方,「糖尿病が強く疑われる人」や「糖尿病の可能性を否定できない人」は著しく増加しており,その増加は男女とも60歳以上で顕著に認められ,高齢者の3人に1人が糖尿病かその予備軍に該当する計算となる.
 最近の高齢者における糖尿病の増加は,生理的な加齢に伴う種々の変化が平均寿命の延長により増幅され,耐糖能の低下に関与しているためと考えられる.またインスリン分泌能が欧米人に比べて脆弱であると考えられる日本人においては,最近のライフスタイルの欧米化が加齢による膵β細胞の疲弊を一層助長して,インスリンの初期分泌の遅延や低下を引き起こし,その結果,高齢者の耐糖能低下や糖尿病が増加すると考えられる.
 このような病態特性のもとに増加する高齢者糖尿病の良好な治療と管理のためには,食事,運動,服薬などの自己管理が長期にわたって十分に行えるか否かを評価することがきわめて重要である.そのためには慢性疾患を有する高齢者に対して行われる包括的機能評価(CGA)を糖尿病患者にも適用する必要がある.
 以上のような背景を踏まえ,本特集では高齢者糖尿病の病態特性と治療指針に始まり,臨床的特徴,食事療法,運動療法,薬物療法に加えて,服薬管理や看護の視点からの療養指導,さらには認知症を含む糖尿病合併症の管理,CGAの実際や将来に向けてのテーラーメイド医療につき専門の先生方にわかりやすく解説いただいた.この企画が読者の方々の高齢者糖尿病に対する知識の集約に役立ち,明日からの診療に実践的に生かされることを願っている.
横野浩一
(神戸大学大学院 医学系研究科 老年内科学 教授)
1. 高齢者糖尿病の病態特性と治療指針‥‥‥小泉順二
2. 高齢者糖尿病の臨床的特徴‥‥‥安田尚史
3. 高齢者における栄養評価と糖尿病の食事療法‥‥‥葛谷雅文
4. 高齢者における運動効果と糖尿病の運動処方ガイドライン‥‥‥佐藤祐造
5. 高齢者の経口糖尿病薬療法‥‥‥大庭建三
6. 高齢者糖尿病におけるインスリン療法‥‥‥弘世貴久
7. 高齢者糖尿病の服薬管理‥‥‥秋下雅弘
8. 高齢者における糖尿病合併症の管理‥‥‥中村二郎
9. 糖尿病における包括的高齢者機能評価の活用‥‥‥荒木 厚
10. 認知症を伴う高齢者糖尿病の管理‥‥‥櫻井 孝
11. 高齢者糖尿病の療養指導‥‥‥藤原優子
12. 高齢者糖尿病に適したテーラーメイド医療の現状と今後の展望‥‥‥池上博司