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月刊糖尿病 11年10月号
月刊糖尿病10月号 SOLD OUT

2011年9月20日発売
A4変型判/144頁
価格:本体2,500円+税
ISBNコード:978-4-287-82029-2
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特集糖尿病と妊娠

企画編集/平松祐司
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特集 特集 特集 連載
 厚生労働省発表の「平成19年国民健康・栄養調査の概要」によると,糖尿病が強く疑われる人は約890万人,糖尿病の可能性が否定できない人は約1320万人,合わせて約2210万人と推定されており,年々さらに増加傾向にある.この影響もあり,妊娠糖尿病(gestational diabetes mellitus;GDM)も増加傾向にある.
 妊婦と糖尿病をめぐる最も大きな動きは,2008年に発表されたHyperglycemia and Adverse Pregnancy Outcomes(HAPO study)をもとに,国際妊娠糖尿病学会(IADPSG)から世界統一のGDM診断基準が提唱されたことである.日本でも日本糖尿病・妊娠学会を中心に,日本産科婦人科学会と日本糖尿病学会と協議し,2010年7月から新診断基準が採用された.
 新診断基準ではGDMは,「妊娠中に初めて発見または発症した糖尿病に至っていない糖代謝異常である.“妊娠時に診断された明らかな糖尿病”overt diabetes in pregnancyは含めない」と定義された.新診断基準採用により,日本のGDMの頻度は,全例に75 g OGTTを施行した場合,2.92 %から12.08 %へと4.1倍に増加する.また,妊娠前から糖尿病の判明しているpre-existing diabetesと,妊娠時に診断された明らかな糖尿病を加えると,妊婦の約15 %はなんらかの耐糖能異常を持っていることになり,産婦人科医にとっても糖尿病に関する知識は必須のものとなった.
 次号では,この新診断基準とその採用により発生する問題への対応,妊婦糖代謝の基礎知識,厳重な血糖管理のための血糖自己測定などの応用,食事療法,インスリン療法,母児のフォローアップ,日常診療上のピットホールである肩甲難産,糖尿病性ケトアシドーシス,劇症1型糖尿病について特集した.本特集が,日常の産婦人科診療,妊娠に興味を持つ糖尿病専門医の増加に役立てばなによりである.
平松祐司
(岡山大学大学院 医歯薬学総合研究科 産科・婦人科学教室 教授)
1. 糖尿病の新診断基準と今後の対応‥‥‥平松祐司
2. 妊娠糖尿病スクリーニング‥‥‥杉山 隆
3. 新診断基準採用により増加する妊娠糖尿病への対応‥‥‥安日一郎
4. 妊娠時に診断された明らかな糖尿病への対応‥‥‥中林正雄
5. 妊婦のインスリン抵抗性の評価法‥‥‥宮越 敬
6. アディポサイトカインとインスリン抵抗性‥‥‥増山 寿
7. 耐糖能異常妊婦の食事療法‥‥‥佐中眞由実
8. 血糖自己測定(SMBG)-CGMの妊婦への応用-‥‥‥守屋達美
9. インスリンの種類と妊婦に対する基本的な使用法‥‥‥難波光義
10. 耐糖能異常妊婦に対するインスリン頻回注射,CSII‥‥‥荒田尚子
11. 妊婦の糖尿病性ケトアシドーシスと劇症1型糖尿病‥‥‥清水一紀
12. 肩甲難産‥‥‥正岡直樹
13. 耐糖能異常妊婦のフォローアップ‥‥‥和栗雅子
14. 耐糖能異常の母体から生まれた児のフォローアップ‥‥‥菊池 透
15. 耐糖能異常と母乳栄養‥‥‥平松祐司