HOME雑誌月刊糖尿病 > 月刊糖尿病11年11月号
月刊糖尿病 11年11月号
月刊糖尿病11月号 SOLD OUT

2011年10月20日発売
A4変型判/160頁
価格:本体 2,500円+税
ISBNコード:978-4-287-82030-8
全ページカラー印刷

特集1型糖尿病の臨床-エビデンスに基づいた診断と治療-

企画編集/池上博司
画像をクリックするとサンプル(PDF)をご覧いただけます
目次 特集
 1型糖尿病といわれてなにを思い浮かべるだろうか?
 ケトアシドーシス,急性発症,若年者・・・・・・
 これらは確かに1型糖尿病の典型例を特徴づける臨床像である.しかし,そうではない1型糖尿病が少なからず存在すること,その多くが1型糖尿病とは認知されずに治療されていることに注意が必要である.一見2型糖尿病だが実は1型糖尿病,といった症例が日本ではかなり多い.そして,このような症例の治療選択を誤ると予後が大きく左右されるからことは重大である.
 かつて1型糖尿病であることを見抜くのは必ずしも容易でなかった.膵島関連自己抗体は専門施設でしか測定できなかったためである.しかし,GAD抗体が保険適用されたことで,膵島自己免疫の有無が簡便に測定できるようになり,診断面のみならず,1型糖尿病の実態解明も大きく進歩した.その結果,インスリン非依存状態にある成人糖尿病患者の約4 %でGAD抗体陽性を示すことが示された.日本糖尿病学会「緩徐進行1型糖尿病委員会(小林哲郎委員長)」からの最近の報告によると,陽性率はさらに高く,診断後5年以内の糖尿病患者の約10 %で膵島関連自己抗体が陽性を示すとされている.いずれにしても,これらのデータは,診療している患者が「実は1型糖尿病」ではないかを常に考え,検証することの重要性を示している.
 1型糖尿病の診療は2型糖尿病とは大きく異なる.にもかかわらず,糖尿病臨床に関する成書や患者向け指導書,マスメディアの一般向け報道などの大部分は「糖尿病」イコール「2型糖尿病」として記載されている点は否めない.一見2型糖尿病だが実は1型糖尿病,といった症例も含めて,1型糖尿病であることをいかに「見抜く」か,見抜いたら「どのように対処すべきか」が強く求められている.
 本特集では,「1型糖尿病の臨床:エビデンスに基づいた診断と治療」と題し,1型糖尿病をどう見抜くか(診断),どう対処するか(治療)の最前線を,その道のプロにご執筆いただいた.本特集が明日からの日常診療に活かされ,患者予後改善の一助となれば幸いである.
池上博司
(近畿大学 医学部 内分泌・代謝・糖尿病内科 主任教授)
1. エビデンスからみた合併症の予後/川畑由美子
2. エビデンスからみた膵β細胞の運命/小林哲郎
3. 1型糖尿病の診断/川崎英二
4. コントロール指標1:血糖値/西村理明
5.コントロール指標2:GA vs. HbA1c/松久宗英 他
6.治療1:強化インスリン療法/島田 朗 他
7.治療2:CSII療法/難波光義 他
8.治療3:カーボカウント/川村智行 他
9.治療4:移植医療/後藤満一 他
10.治療5:再生医療/倭 英司
11.治療6:インクレチン関連薬の可能性/粟田卓也
12.小児・ヤング1型糖尿病/杉原茂孝
13.サブタイプ1:SPIDDMとLADA/丸山太郎
14.サブタイプ2:劇症1型糖尿病/今川彰久

連載
・セルフトレーニング - チェックリスト問題と解答 -
・糖尿病に合併する感染症
第25回 バルトネラ(猫ひっかき病)/吉田 博