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月刊糖尿病 12年1月号
月刊糖尿病2012年1月号 SOLD OUT

2011年12月20日発売
A4変型判/128頁
価格:本体 2,500円+税
ISBNコード:978-4-287-82032-2
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特集血糖値の把握と正常化を目指して

企画編集/渥美義仁
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目次 特集 特集 特集
 糖尿病の治療においてインスリン分泌能や抵抗性を根本的に治すことは最大の治療目標である.しかし,この治療目標が達成されていない現在,合併症によるQOL低下を予防する方法とは,糖尿病患者の血糖変動パターンを健常人のパターンに近づけることである.1型糖尿病はもちろん,2型糖尿病においても,血糖値は食事,運動,ストレスや薬物の影響を受けて大きく変動する.正確に血糖値の変動を把握するためには,頻回に血糖値を測定するかcontinuous glucose monitoring(CGM)を装着しなければならない.しかし,self-monitoring of blood glucose(SMBG)では,頻回に測定するとしても測定と測定の間の変動を知ることはできない.また,CGMは2〜4日間以上装着することができないため,長期的な変動を把握することはできない.そこで便宜的に,中長期指標としてHbA1cやグリコアルブミン,1,5-AGなどを用いてきた.歴史的には,HbA1cが出現したことによって,糖尿病患者の長期的な血糖変動を初めて知ることができるようになり,糖尿病臨床は大きく進歩した.このような進歩によって,治療の評価が以前よりはるかに正確に行えるようになったため,HbA1cを目標項目としたり評価項目として多くの臨床研究が行われ,報告されてきた.そのような臨床研究を参考として,日常臨床でもHbA1cが血糖把握の主体となり,HbA1cをもとに糖尿病の指導や治療を行うようになってきた.
 しかし,本来は血糖値そのものを連続的に把握して治療を正確に評価し,薬物も細かく調節するのが理想である.Diabetes Control and Complications Trial(DCCT)は,HbA1cが高いほど合併症が進行する率が高く,HbA1cが著しく低い治療状態では重症低血糖の率が高くなることを示し,当時の糖尿病臨床を大きく変えた.比較的新しいAction to Control Cardiovascular Risk in Diabetes(ACCORD)試験は,主たる治療目標にHbA1cの正常近似を用いたためか,急速な血糖改善と重症低血糖などから成果を上げることができなかった.やはりHbA1cは過去の評価検査であり,その結果から先の治療を決めるのは困難であることを示したといえる.
 現在,血糖変動の把握方法は増加したが,それぞれ目的に応じて適材適所で使い分ける曲がり角にきている.糖尿病治療薬が増加する今,安全かつ適正に薬物を用いるためにも,生活習慣を見直すためにも,非インスリン治療例でもSMBGを活用すべきであろう.
 本特集では,血糖変動の把握方法とそれぞれの適正な用い方から,CGMの活用法,さらに新しい技術を用いた今後の治療の方向性などについて,各分野のエキスパートの先生方に執筆いただいた.大いに期待してお読みいただきたい.
渥美義仁
(東京都済生会中央病院糖尿病臨床研究センター長)
特集
1. 血糖正常化への挑戦:これまでとJ-DOIT3/植木浩二郎 他
2. HbA1c 測定の基本から国際標準化まで/武井 泉
3. 頻回血糖自己測定による血糖把握の意義/田中 逸 他
4. 非インスリン治療糖尿病患者における SMBG の活用/渥美義仁
5. SMBG のデータマネジメントシステムを活用した指導/小出景子
6. 低血糖・高血糖予防における CGM の価値/西村理明 他
7. CSII を用いた血糖正常化へのアプローチ/川村智行
8. 周術期の血糖正常化/花崎和弘 他
9. 血糖正常化:カーボカウントを用いたアプローチ/黒田暁生 他
10. 血糖センサー連動 CSII/大杉 満
11. 1,5-AG による血糖変動の把握/山内俊一
12. グリコアルブミン:再評価から透析例での必然性まで/西澤良記 他

セルフトレーニング - チェックリスト問題と解答 -

連載
・糖尿病の食事療法
 第1回糖尿病の食事療法の新たな展開/石田 均
・糖尿病に合併する感染症
 第27回 嫌気性菌-バクテロイデスとその関連菌・ガス壊疽菌-/小田 紘