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月刊糖尿病 12年7月号
月刊糖尿病2012年7月号 SOLD OUT

2012年6月20日発売
A4変型判/144頁
価格:本体 2,500円+税
ISBNコード:978-4-287-82038-4
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特集糖尿病合併症の成因と薬物療法

企画編集/川上正舒
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目次 特集 特集 連載
 近年の糖尿病薬物療法の進歩はめざましく,第一の目標である血糖のコントロールについては,インスリンおよび作用時間の異なるインスリンアナログ製剤や機序の異なるさまざまな経口血糖降下薬に加えて,GIP-1受容体アゴニストやDPP-4阻害薬が登場し,現在では多くの治療法が選択できるようになってきた.しかし,糖尿病治療の目標は合併症の予防であり,したがって,「合併症の予防と治療を標的とした糖尿病薬物療法」こそが,真の糖尿病薬物療法であるはずである.残念ながら,現在用いられている血糖降下薬にはインスリンを含めて合併症の予防に直接介入する作用を持つことが知られているものはほとんどない.
 糖尿病合併症の多くは血管障害であり,動脈硬化を本態とする大血管症と毛細血管障害を本態とする細小血管症に分けて議論されている.いずれも血糖値の高いことが根本の原因ではあるが,その影響は大血管と細小血管では微妙に違うとされている.これまで,合併症発症の機序としてポリオール経路の活性化,PKC活性の亢進,AGE増加,酸化ストレス増加などが知られており,それぞれに対する阻害薬の開発が試みられてきた.これらについてはかなりの有効性を示す治験成績の報告もあるが,現在のところ臨床現場で広く用いられているのは,アルドース還元酵素阻害薬のエパルレスタットのみである.最近,抗VEGF抗体が増殖性網膜症の治療に導入され,また,PPARやアディポネクチン受容体のアゴニスト,Rhoキナーゼ阻害薬など,新しい機序の薬物の開発も行われている.また,RA系阻害薬が本来の降圧効果に加えて直接血管保護に働くということは,多くの治療成績の示すところである.SU薬のなかにも血管保護に働くものとそうでないものがあることや,近年,話題のインクレチン関連薬にも血管保護作用があることが知られ,降圧薬や血糖降下薬も合併症予防という観点から選択することが必要となってきている.
 本特集では,開発中とされる合併症治療薬の現状に加えて,新たな作用機序から合併症予防が期待される薬物についても取り上げ,それぞれの専門の方々から最新情報を提供していただいた.
川上正舒
(練馬光が丘病院 院長,自治医科大学 名誉教授)
特集にあたって/川上正舒
I 糖尿病合併症予防の薬物療法の現状と限界
(1) 網膜症/梯 彰弘
(2) 神経障害/馬場正之
(3) 腎症/羽田勝計
(4) 大血管障害/曽根博仁 他
(5) インクレチンの血管保護作用/平野 勉
II 合併症の成因を標的とした薬物療法の開発
(1) PKCの活性化とその阻害薬/古家大祐 他
(2) ポリオール経路の活性化とアルドース還元阻害薬/中村二郎
(3) 非酵素的糖化反応とAGE阻害薬/山岸昌一
(4) 酸化ストレス亢進とその阻害薬/井口登與志 他
(5) エリスロポエチン受容体アゴニスト/川上正舒
(6) VEGF阻害薬/石橋達朗 他
(7) ヘキソサミン経路の活性化とその阻害薬/横手幸太郎 他
(8) Rhoキナーゼ阻害薬/宇都宮一典 他
(9) 核内受容体アゴニスト/槇野博史 他
(10) アディポネクチン受容体アゴニスト/山内敏正 他

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