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月刊糖尿病 13年5月号
月刊糖尿病2013年6月号 SOLD OUT

2013年5月20日発売
A4変型判/96頁
価格:本体2,500円+税
ISBNコード:978-4-287-82049-0
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特集●妊娠糖尿病の最先端

企画編集/杉山 隆
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目次[PDF 特集[PDF 連載[PDF 連載[PDF
 妊娠糖尿病の臨床的意義は,妊娠合併症の増加,母体における将来的な2型糖尿病発症の増加,次世代の生活習慣病発症の増加といった,短期・中期・長期的予後に関与する点で重要である.  2010年に妊娠糖尿病(gestational diabetes mellitus;GDM)の診断基準が変更されてから2年半以上が経過した.旧診断基準では母体の2型糖尿病発症という長期的予後がエンドポイントとして決められていたのに対し,新診断基準では母児の合併症という短期的予後がエンドポイントとして決められた.
 新診断基準への変更に伴い,臨床現場では約4倍に増加するGDMの管理法に関して混乱が生じたことは否めない事実である.なぜなら,増加するGDM症例の80 %以上が診断基準のうち1点のみが異常な軽度耐糖能低下GDMであり,これらの症例は旧診断基準ではGDMとは診断されず,ほとんど治療の対象とはならなかったからである.
 Hyperglycemia and adverse pregnancy outcome(HAPO)studyは,血糖値が上昇するにつれて母児合併症の頻度が増加することを示した観察研究である.HAPO studyでは,種々の妊娠合併症の頻度が血糖上昇に伴って直線的に増加することが明らかになった.また,日本における施設内研究においても,1点のみ異常群では正常耐糖能群よりも母児の合併症の頻度が高いことが示されている.ただし,これら1点のみ異常のGDM症例に対する治療介入が周産期合併症の頻度を抑制するか否かについては,依然明らかではない.
 2010年にHAPO studyの結果をもとに世界統一の診断基準案を出したInternational Association of Diabetesand Pregnancy Study Group(IADPS)の主力メンバーが存在する米国では,いまだに新診断基準は採用されていない.その主な理由は,増加するより軽度なGDMの管理法に関する介入試験が存在しないこと,治療介入のコストパフォーマンスについても検討されていないこと,などが挙げられる.
 日本におけるGDMの新診断基準導入を否定するつもりはないが,今後日本のGDMの疫学を含めた臨床研究を展開する必要があると考える.
 本特集では,このような観点から「妊娠糖尿病の最先端」なるタイトルで,本分野に関するエキスパートの先生方にGDMについて論じていただいた.
杉山 隆
(東北大学病院 産科長・特命教授)
特集●妊娠糖尿病の最先端
特集にあたって/杉山 隆
1.妊娠糖尿病の頻度/平松祐司
2.妊娠糖尿病の臨床的背景/森川 守
3.妊娠糖尿病の管理に関する世界の動向/安日一郎
4.妊娠糖尿病と肥満 -妊娠合併症に及ぼす影響-/杉山 隆
5.妊娠糖尿病患者における妊娠合併症/鮫島 浩 他
6.妊娠糖尿病における目標血糖値/和栗雅子
7.妊娠糖尿病の管理指標/清水一紀
8.食事・運動療法/守屋達美 他
9.妊娠糖尿病について -インスリン療法を含めて- /勝野朋幸 他
10.産後のフォローアップ/宮越 敬 他
11.日本における糖代謝異常妊娠に関する今後の臨床研究の方向性/荒田尚子

連載
・糖尿病の運動療法
第6回 運動療法を開始し,継続につなげる指導方法
大澤 功

・糖尿病の食事療法
第12回 糖尿病患者へのNST活動
中村丁次