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WOC Nursing 15年1月号
A4変型判
価格:本体2,000円+税
ISBNコード:978-4-287-73016-4
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特集高齢者のかゆみ−見逃しで痛い眼にあう前に−
企画編集/石井則久
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 今回は「高齢者」,「皮膚」,「かゆみ」をキーワードに特集を組みました。
 高齢者の皮膚は乾燥が目立ちます。高齢者の皮膚はどうなっているのかを解剖学や生理学の面からきちんと理解したいと思います。そのうえで,なぜ高齢になるに従って皮膚の乾燥が目立ち,皺が多くなり,いろいろなシミ・斑点ができるのかも理解したいものです。高齢者の皮膚には,いろいろな変化が起こってきます。それらが病的なものか正常範囲内のものか,病名がついているのか,治療が必要なのか,興味深いものです。いや,大いに心配です。皮膚に変化が起こっている部位(皮疹部)にテープを貼ってよいのか,その部位から出血した場合の対処法はどうするのでしょうか。これらの皮膚の変化や,高齢者を皮膚科医はどのように診療しているのか,外来,病院,往診などでの皮膚科医の「見どころ」,「見立て」にも注目したいと思います。往診カバンの中身をのぞかせていただけると,皮膚,皮膚科医への興味・信頼度も高まるかもしれません。
 以上の理解のもと,高齢者のかゆみ対策をまず医療面からみていきたいと思います。医師はかゆみをどのように患者から聴き出し,診断し,治療を選択し,患者に説明するのでしょうか。一方,日常のスキンケアで皮膚を美しく保つことも私たちは知っていますが,実際のケアについて理解を深めたいと思います。このことがかゆみ対策にもつながっていくかもしれません。さらに寝たきりの方のスキンケアも大切です。体位交換のとき,寝具・寝間着交換のときに行えるスキンケアがあるかもしれませんので,その極意を聞きたいものです。
 ここで乾皮症あるいは乾燥肌への実際の対処を,薬・スキンケア製品などでの対応でどこまで改善できるのかをビジュアルでみたいと思います。高齢者での陰部ケアやオムツかぶれにはいつも悩まされますので,この点も,治療とともに予防について理解を深めていきたいと思います。
 ここでテーマを大きく変え,今,高齢者が多く集まる施設で流行が拡がっているヒゼンダニが原因である疥癬(かいせん)を取り上げます。疥癬を疑うこと,パニック対策です。多くの施設で,一度ならず複数回パニックを経験しているのではないでしょうか。なぜ,疥癬は見抜けなかったのか,あのとき,行動を起こしていれば流行につながらなかったのではないか。そう反省している方も多いと思います。ここでは最新の情報も取り入れて解説していただきます。また,2015年に日本皮膚科学会から公表される『疥癬診療ガイドライン(第3版)』の進捗状況も盛り込まれています。
 最後に,食事と皮膚との関係を調べました。食事で本当に皮膚が「元気」になるのでしょうか。単に免疫力が向上するだけなのでしょうか。できるだけ根拠のある論調で解説していただきました。
 今回の特集で,皮膚を清潔で若々しく保ち,毎日のスキンケアで,疥癬の流行に遭わない注意ができれば,「痛い眼にあう」ことはないと確信しています。
石井則久
国立感染症研究所ハンセン病研究センター センター長
1章
2章
3章
4章
5章
6章
7章
8章
9章
10章
11章
高齢者の皮膚の解剖・生理,とくにかゆみについて/草津民子
小さな皮膚変化:老人の皮膚病への対応/衛藤 光
皮膚科医は高齢者の何に注目して診察するか−外来,往診,施設−/浅井俊弥
高齢者のかゆみ対策:治療薬,OTCを含めて/曽我部千鶴子・石井直美
高齢者の日常のスキンケア−石けん,シャンプー,風呂など−/濱部恵里子
寝たきり高齢者のスキンケア/米丸めぐみ
乾皮症,皮脂欠乏性皮膚炎−病態と診断・治療−/妹尾明美
高齢者の失禁に伴う皮膚障害のスキンケア/河野 薫
忘れるな疥癬/関根万里
疥癬パニックを防ごう/伊藤敬子
食事と皮膚(高齢者の衣食住と皮膚)/西山孝子