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WOC Nursing 15年10月号
A4変型判
価格:本体2,000円+税
ISBNコード:978-4-287-73025-6
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特集褥瘡患者のQOL向上を目指したドレッシング材の活用
企画編集/貝谷敏子
(札幌市立大学 看護学部 成人看護学領域 准教授)
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 湿潤環境理論が普及して以来,さまざまなドレッシング材が開発され,創傷分野は飛躍的に発展してきました。そして,治癒を主なアウトカムとした「創傷を治癒させること」に焦点をあてて,より早く治癒させるために,各ドレッシング材を比較した臨床研究が多く実施されてきました。
 2000年代に入ると,患者側からみたアウトカムの重要性に関する意見書がEuropean Wound Management Associationより発表され,創傷を持つ患者のquality of life(QOL)の重要性が認識されてきました。つまり,創傷を管理するうえでQOLに影響する要因である疼痛,におい,滲出液の効果的な管理方法に焦点があてられるようになったといえます。
 褥瘡は療養環境に左右される病態であり,総合的な生活支援が必要となります。看護師は局所の傷だけでなく,療養環境も含めて総合的に患者をアセスメントして,創傷管理方法を考えてきました。さらに,スキントラブルを予防するという看護的な視点でケアを行っています。QOLを重視した管理は,看護師がこれまで大切にしてきたことであり,結果として創傷管理にドレッシング材を多く活用してきました。
 今回の企画では,看護の基本的な視点から,褥瘡患者のQOLを重視したドレッシング材の活用方法について満載しました。具体的には,①基本的な創傷管理とスキンケア,②QOLの向上を目指したドレッシング材の活用,③在宅でのドレッシング材の活用,④ドレッシング材の費用対効果,の4つで構成しています。
 ①基本的な創傷管理とスキンケアでは,ドレッシング材を活用するうえでのベースとなる基礎知識を取り上げています。とくにQOLに重きを置いた予防的なスキンケア技術とドレッシング材の活用について紹介します。②QOLの向上を目指したドレッシング材の活用では,滲出液・におい・疼痛に焦点を当てて,どのようにドレッシング材を選択し,使用・評価するのかについて症例を通して紹介します。③在宅でのドレッシング材の活用では,療養環境に合わせてドレッシング材をどのように選択して管理していくのか,家族指導を含めて紹介します。そして,在宅における多職種と連携方法について紹介します。最後に,④ドレッシング材使用は本当に費用対効果があるのか,では現在までのエビデンスを概観して費用対効果からみたドレッシング材の利点について紹介します。
 現在,日本で入手可能となっているドレッシング材は多岐にわたります。そのため,ドレッシング材の特徴を把握し,創のアセスメントはもちろん患者の療養環境に応じて使い分けができる知識を持つことが重要で,患者のQOLを重視した使い分けが求められているといえます。本特集掲載の情報が,患者のQOL向上に役立つことを願っております。
貝谷敏子
札幌市立大学 看護学部 成人看護学領域 准教授
1章 創傷治癒と湿潤環境理論/菅野恵美,館 正弘
2章 QOL を向上させる予防的なスキンケアとドレッシング材の活用/石澤美保子
3章 臨床の療養環境に合わせた基本的なドレッシング材の使い方/関根美香
4章 滲出液・においをどのようにドレッシング材でコントロールするか/渡邉光子
5章 感染のとき,壊死組織がある場合は/どのようにドレッシング材を選択するか 日野岡蘭子
6章 脆弱皮膚・疼痛を考慮したドレッシング材の使用/片岡ひとみ,安藤共和,中條 薫
7章 在宅の療養環境に合わせたドレッシング材の活用/北川智美
8章 費用対効果からみたドレッシング材の活用/貝谷敏子