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WOC Nursing 16年8月号 SOLD OUT
A4変型判
価格:本体2,000円+税
ISBNコード:978-4-287-73035-5
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特集圧とずれからみた褥瘡の治療・ケア〜徹底した圧とずれの排除を考える〜
企画編集/大浦武彦(医療法人社団廣仁会 褥瘡・創傷治癒研究所 所長)
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 褥瘡は,圧とずれの負荷によって,一定時間虚血が起きたときに発生します。これを受けて褥瘡発生要因が種々考えられていますが,このなかで最も大きなインパクトファクターは圧とずれであることを強調したいと思います。ところが最近,これらの事実が軽視されていることが多く,とくに栄養関係と薬剤関係の方に多いため,この機会に警告を発したいと思います。
 いくら健康で栄養状態がよい人でも,意識を失い硬い床に3〜4時間倒れていたら,褥瘡の発生は必須です。栄養を補給して,また,薬剤を適切に使って褥瘡がよくなりつつある患者であっても,圧とずれが一晩負荷されたら,ひとたまりもなく褥瘡は悪化します。たしかに太った人と痩せた人とに褥瘡発生の程度に差はできるでしょうが,褥瘡の発生自体は避けることができません。薬剤においても“然り”です。褥瘡の治療・ケアの基本は圧とずれの排除であり,これらインフラが整備され,さらに介護体制が整ってはじめて,栄養供給や薬剤の効果が表れます。
 栄養や薬剤は大切であり,おろそかにできませんが,大前提である圧とずれの排除を抜かして,あるいは無視したままで,栄養や薬剤だけで褥瘡が治癒するという主張はすべきでありません。最近若い人たちは,栄養を十分供給すれば褥瘡は治る,また薬剤だけで治る,と思ってしまって,最も重要な除圧やずれの予防に力を入れなくなってきているのが問題です。とくに圧とずれの排除がいまだ完全に整備されていない施設や長期療養型病院において,重点項目の順番を間違えてしまっている施設が多くなっています。この結果,圧とずれの排除がおろそかになり,褥瘡が治らず,悪化を繰り返すという悪い環境が続いています。
 施設であれ病院であれ,まず第一に考えることは,圧とずれの徹底した排除です。このためには,適切なマットレスの選択と適切な供給,適切なリフトの使用,ポジショニング枕,ポジショニング手袋やスライディングシーツなど介護用品の整備が必要です。これらを使用することにより,褥瘡を悪化させない体位変換をすべきです。これらが整備されてはじめて,栄養の供給や薬剤の効果も発揮しはじめます。
 今回WOC Nursingの企画にあたって初心に立ち返り,「圧とずれからみた褥瘡の治療」というテーマのもとに,圧とずれがどれほど褥瘡の治療に影響を及ぼしているかを解明したいと考えています。新しい試みとして,項目ごとに,圧とずれからみた基本的な考えとエビデンスを述べるパートと,それらを臨床応用して得られた臨床経験を述べるパートを分けて,はっきりと圧とずれの排除の大切さを認識していただきたいと考えています。
大浦武彦
医療法人社団廣仁会 褥瘡・創傷治癒研究所 所長
Ⅰ.


Ⅱ.


Ⅲ.


Ⅳ.



Ⅴ.



Ⅵ.



Ⅶ.


褥瘡発生メカニズム
1章 生体力学からみた褥瘡発生/高橋 誠
2章 臨床実践〜圧とずれによる創の変化〜/大浦武彦
日本人の褥瘡危険要因とOHスケール
1章 OHスケールの歴史(開発の経緯)と新しい用い方の概要/大浦武彦
2章 臨床実践/堀田由浩
身体移動と褥瘡発生・悪化予防
1章 褥瘡予防のための姿勢管理や動作のサポートにおける基本的な考えと普及/下元佳子
2章 臨床実践/藤井香織
自動体位変換機能付きエアマットレス
1章 <体位変換マットレスの基本的考え方と実験結果>体位変換付き高機能エアマットレスに要求されること/三村真季
2章 臨床実践/福田正人
おむつ交換の際の身体の移動方法が褥瘡を悪化させる
1章 <基本的な考え方とエビデンス>おむつ交換頻度削減と肌トラブル予防/戸田温樹,田中嘉則
2章 臨床実践〜おむつ交換の臨床〜−失禁による皮膚障害を起こさないおむつ交換の実際−/馬場由香子,木俣美津子,北川智美
圧とずれを考えた予防的ドレッシング
1章 実験的・臨床的データから解説する/大浦紀彦
2章 臨床実践−ネクサバール使用に伴い発症する手足皮膚反応(HFS)に対するリモイスR パッドの有用性に関する検討−/篠原信雄
体位変換の質を考える
1章 時間ごとの体位変換が起こす褥瘡発生と悪化−体位変換の改革と新しい体位変換−/大浦武彦
2章 臨床実践“改善に向けて”−介助グローブの使用−/下田雅子