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WOC Nursing 16年9月号
A4変型判
価格:本体2,000円+税
ISBNコード:978-4-287-73036-2
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特集褥瘡を診るのに必要な皮膚の構造・機能とスキンケアの基礎知識
企画編集/門野岳史(聖マリアンナ医科大学 皮膚科 准教授)
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 褥瘡になった皮膚は喘いでいます。褥瘡は皮膚もしくは軟部組織の血流が低下したり停止したりすることにより,皮膚や皮下組織が不可逆的に損傷を受けることによって生じます。皮膚は,外界から身を守るための最大のバリアであるため,褥瘡になると人体は感染などといった外からの危険に常にさらされることになります。
 褥瘡を理解するには,皮膚の構造・機能を理解することが大切です。人間の皮膚は,金属でできた鎧とは異なり,しなやかで,血流も豊富です。こうした皮膚の特性により,人間はスムーズに動くことができ,褥瘡も通常はできにくくなっています。皮膚には他にもさまざまな機能があります。その1つとして,発汗などを通じて体温を調節するとともに,体の表面の湿潤を調節することが挙げられます。褥瘡の危険因子として,多汗,尿失禁,便失禁などによる皮膚の湿潤がよく知られていますが,こうした皮膚の湿潤のバランスが崩れ,皮膚のバリア機能が失われることが,褥瘡発生につながります。
 また,皮膚は体表における感染の制御に欠かせません。皮膚自体が物理的な防波堤となって病原体を入れないようにする作用もありますし,抗菌物質を作ったり,皮膚局所の免疫を調節したりすることでも感染を防御します。したがって,ひとたび皮膚が欠損し,びらんや潰瘍になると,病原菌が容易に付着し,感染の危険性がぐっと高まります。同様に,皮膚は,体の表面における免疫を調節することで炎症を制御するためにも重要です。皮膚は腸管と並んで,病原体に対する最前線であるため,免疫系がよく発達しています。しかしながら,免疫が逆に過剰になりすぎてしまい,炎症が不必要に強くなってしまうと,かえって創傷治癒が損なわれてしまうため,ほどよいバランスが重要になってきます。また,皮膚は緊急事態にも備えています。たとえば皮膚が損傷し潰瘍となっても,通常は自然に肉芽が形成され,創はやがてふさがります。
 しかしながら,皮膚も老化には勝てません。老化に伴い皮膚にもさまざまな変化があらわれ,褥瘡発生のリスクが次第に高まってきます。こうしたなか,皮膚の多様な機能を維持し,褥瘡を予防するために重要なのが,適切なスキンケアです。スキンケアにもさまざまな側面があります。まず重要なのは摩擦やずれを抑えることで,物理的な力から皮膚を守ることです。また,洗浄などを通じて感染や炎症をコントロールすることも重要です。忘れてはならないスキンケアの目標は,適切な湿潤環境を維持することです。仙骨部などではしばしば尿や便汚染が起こりますし,また皮膚の浸軟も褥瘡の危険因子です。
 今回こうした皮膚の構造や多彩な機能およびスキンケアに焦点をあてて,特集を組ませていただきました。皮膚がどのような役割を担っていて,どうすればそれを維持することができるかを理解することが,読者の皆さまの臨床現場において役立つことを願ってやみません。
門野岳史
聖マリアンナ医科大学 皮膚科 准教授
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皮膚の構造〜皮膚は単なる皮(かわ)ではない/門野岳史
皮膚のしなやかさ〜皮膚はどのように外力に耐えるのか/前川武雄
皮膚と保湿〜皮膚はどのようにして適切な湿潤環境を維持するのか/廣崎邦紀
皮膚と感染〜皮膚はどのようにして感染を防ぐのか/倉繁祐太
皮膚と炎症〜皮膚はどのようにして炎症を制御するのか/藤田英樹
皮膚と肉芽形成〜肉芽形成はどのように進むのだろうか/藤原 浩
皮膚と老化〜皮膚が老化するとどのような問題が生じるのか/加納宏行
褥瘡を予防するにはどのようなスキンケアが必要か〜皮膚のずれや摩擦〜/丹波光子
褥瘡を予防するにはどのようなスキンケアが必要か〜皮膚の感染や炎症〜
/片岡ひとみ,安藤共和,中條 薫,淺野歩美
褥瘡を予防するにはどのようなスキンケアが必要か〜皮膚の湿潤〜/三富陽子