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WOC Nursing 17年3月号
A4変型判
価格:本体2,000円+税
ISBNコード:978-4-287-73042-3
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特集疾患別 創傷のアセスメントと治療・ケアのピットフォール
中西健史(滋賀医科大学 医学部医学科 皮膚科学講座 特任准教授)
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 慢性創傷という言葉がありますが,これは本当に正しい用語なのでしょうか? なかなか治癒しないという意味での「慢性創傷」はありかもしれませんが,「1か月以上,通常の治療をしても治らない傷」とか,「半年以上あらゆる治療をおこなっても治癒しない創傷」とか,はっきりした定義はありません。そもそも通常の治療とは何でしょうか? その傷をみたときに80%以上の医療者が,その治療法を選択するとか,そういった定義なのでしょうか? あらゆる治療というのは,具体的にどんな治療をおこなったのでしょうか?
 創傷といっても,その原因はさまざまであり,また発生する部位によって随分とマネージメントが異なります。その際に重要になってくるのが「アセスメント(評価)」です。この特集号は看護師向けに作られていますから,読者の皆さんは「診断」する必要はありません。それは,すでに医師がしています。それよりも,その傷のおかれている状況を評価し,適切なケアをおこなうこと,これがなければ治るはずの傷も「慢性創傷」になってしまいます。医師がおこなう「診断」のプロセスでは,その過程に「検査をしてその結果がこうなので,この薬剤あるいは創傷被覆材が適している」としかインプットされていません。たとえば,尾骨部の褥瘡をみて,創傷に詳しくない医師であれば,なんらかの外用薬を処方して,「あとはやっておいて」となります。その医師の頭の中には,尾骨部が「ガーゼを貼ることがほぼ不可能な部位」というアセスメントが欠落しているからです。また,患者さんの軟便や下痢といった増悪因子に配慮していないケースも多くみられます。一方で,看護師サイドの技量不足もよく見受けられます。おむつの当て方ひとつで尿が尾骨方向へ流れ込むとか,尿量が多いからと尿取りパッドを何枚も重ねた結果,陰部が蒸れ蒸れになるなど,創周囲のアセスメントができていないことも増悪因子となります。
 DESIGN-RやTIME理論は,創傷そのもののアセスメントとしては有用ですが,創周囲の環境をアセスメントしているわけではありませんし,そういったツールもありません。創傷が治癒しにくい要因は,疾患や創の部位によっても随分と異なります。
 この特集では,①実際に皆さんが創傷をケアするときに必要な疾患別の知識を習得していただき,②それに対応した創そのものと創周囲(これが大事!)の環境をアセスメントする際のコツを学び,③必要な創傷被覆材やガーゼ,テープなど医療材料の選択基準のポイントをつかみ,④固定の方法として,その貼り方や厚み,あるいは創にかかる外力を評価して適切な処置をマスターしていただくことを目指しています。また,創に対する外力やポジショニング,患者指導などもあわせて執筆陣が期待に応えた解説をしていますので,明日からの業務にぜひお役立てください。
中西健史
滋賀医科大学 医学部医学科 皮膚科学講座 特任准教授
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末梢動脈疾患(PAD)/溝端美貴
糖尿病性足病変/石橋理津子
透析患者/愛甲美穂
静脈うっ滞/渡辺直子
リンパ浮腫の基礎知識と複合的治療〜リンパ浮腫の患者と向き合うために〜/大前敬子
関節リウマチ/松本衣代,野口まどか,小田純生,長谷川泰子
強皮症における指趾潰瘍のケア/丸尾 郁,野口まどか,長谷川泰子,寺師浩人
熱傷/西出 薫
外傷/細田夕子
スキン−テア(皮膚裂傷)/松田常美
褥瘡/北川智美
〔お知らせ〕
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