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WOC Nursing 17年4月号 SOLD OUT
A4変型判
価格:本体2,000円+税
ISBNコード:978-4-287-73043-0
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特集滲出液の量による褥瘡局所療法
安田 浩(産業医科大学病院 形成外科 診療教授)
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 約30年前になりますが私が医師になりたてのころ,開放創は消毒してキズを乾燥させていました。これはおそらく,感染対策と最終的な皮膚の表面は乾燥していたため早く乾燥させるという意識があったように思います。
 その後,褥瘡などの開放創は湿潤環境にすると早く治るという大転換があり,この考えは現在の主流になってすでに20年以上が経過しています。しかし湿潤環境にするという意味が誤解されて過湿潤となり,創部周囲の正常皮膚までふやけてしまうように管理されているのをみることがしばしばあります。さらに感染が制御できない創部では滲出液が多く,感染期はいまだに乾燥させたほうがよいと思われる創面もあります。「適切な」湿潤環境をつくることがWound Bed Preparation(WBP)ですが,すべての創面を適切に管理することは今でも苦労します。その大きな要因に,創面から出る滲出液の量・性状があると思います。滲出液が多い創面を強く密閉してしまうと過湿潤になりやすく,滲出液が少ない創面では簡単に創面は乾燥します。また,急性創傷の滲出液には創傷治癒を促進させる因子が多く含まれますが,慢性創傷の滲出液は抑制的な因子が多いとされていて,滲出液の管理は大変重要です。これらより私自身はTIMEコンセプトを重視して創傷治療にあたっていますが,同時に滲出液の量にも注目して治療をおこなうよう心がけています。
 そこで今回は私も重要視しているTIMEコンセプトを中心とした湿潤環境維持を滲出液の量という側面から評価し,医師,病院WOCナース,薬剤師の観点より滲出液の量を考えた創傷管理を述べていだたくことを総論としました。また普段,潤沢に創傷治療剤(材)を用いにくい在宅医療の現場より,創傷治療の工夫を述べていただきます。
 各論では,私自身が治療に難渋する2つの創の状態をどのように管理すべきかを企画しました。1つは,一見感染が収まり,肉芽形成もよいのになかなか滲出液が減らない状態です。滲出液が多いというのは,創傷治癒段階の炎症期から完全には抜けていないと考えます。そのためcritical colonizationの考え方やその対処法を企画しました。もう1つは,肉芽形成が終了し,周囲の上皮化を待つばかりなのに,そこから治癒へ進まないこともよく経験します。湿潤環境維持は肉芽形成の時期には重要ですが,この最終段階ではしばしば乾燥傾向に創を管理したほうがよい場合もあり,その工夫も企画しました。
 滲出液は創傷治癒過程において重要な因子です。滲出液の量だけでなく,どのような創面を湿潤にすべきか,乾燥で管理すべきかを含めて,エキスパートの皆さまにまとめていただきます。今回の企画で滲出液に対する考えが明らかになり,皆さまの日常診療に寄与できることを願っています。 導などもあわせて執筆陣が期待に応えた解説をしていますので,明日からの業務にぜひお役立てください。
安田 浩
産業医科大学病院 形成外科 診療教授
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局所の湿潤環境維持−TIME理論を中心に−/田中マキ子
滲出液の量からみた創傷局所管理:医師の視点より/土井悠人,三宅順子,安田 浩
滲出液の量からみた創傷局所管理:病院WOCナースの視点より/本村由美子
滲出液の量からみた創傷局所管理:在宅WOCナースの視点より/岡本加代子
滲出液の量による外用薬の選択:薬剤師の視点(Furuta methods)より/古田勝経
滲出液の量によるドレッシング材の選択/黒川正人
滲出液が多い創部をどう考えるか:critical colonization創における銀含有ドレッシング材の効果−滲出液に及ぼす影響−/大山拓人,大慈弥裕之
肉芽形成が良好なのに滲出液が多い創面をどう考えるか/安田聖人
上皮形成期における滲出液の管理/大浦紀彦,岩科祐己,倉地彩奈,関山琢也,森重侑樹,松永洋明
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