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WOC Nursing 20年1月号 |
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A4変型判 2020年1月発行
定価2,640円(本体2,400円+税10%) ISBNコード:978-4-287-73074-4
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特集●高齢者の排便障害のアセスメントとケア
企画編集/ 前田耕太郎(藤田医科大学病院 国際医療センター 教授) |
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日本での高齢化は世界一の水準に達しています。「慢性便秘症診療ガイドライン」によると,日本人の便秘の頻度は60歳より急激に増加し,80歳以上では男女ともに12%程度の頻度と報告されています。また「便失禁診療ガイドライン」では65歳以上の便失禁の有病率は約7.5%と報告されており,高齢者の排便障害の問題は社会的な問題となってきています。しかしながら,日本の“恥の文化”という文化的な側面により,高齢者は排便障害のことを表にしないことが多いです。臨床的には,直腸糞便塞栓などぎりぎりの状況になって病院を受診することが多く,現場では救急の対応をせざるをえないことが少なくありません。また,便失禁になっても病院を受診せず1人で悩み,失禁のために外出もしない状況が起こり,うつ状態になっている患者も少なくありません。
高齢者といっても,実際はバリバリ働いている高齢者もいれば,寝たきりで介護を必要としている高齢者もいます。現状では介護を必要とする高齢者の多くに“おむつ”による排便管理がなされています。排便管理や処置が健常の状態から,最終的に“おむつ”によるケアになる段階のケアが,本特集の高齢者に対する排便障害のアセスメントとケアに相当すると考えられます。よりよい状態で,より長く,排便を自己管理できるように,アセスメントしケアすることが,まさに腕の見せ所となります。これにより患者は,よりよい社会生活を,より長くできるようになります。
本特集では,まず高齢者で最も問題になっている便秘,便失禁についての疫学的データや,高齢者に特徴的な排便障害の病態を解説していただきました。排便障害の病態を理解することは,どのようにアセスメントしたらよいか,またどのようにケアしたらよいかの指針になります。その後に,便秘・便失禁の診断とアセスメントについて医師と看護師の立場から概説していただきました。とくに便秘では,先述したように直腸の糞便塞栓で救急に受診する患者が少なくないため,最近試みられている超音波によるアセスメントに関しても原稿をお願いしました。便秘・便失禁の治療に関しては,医師・看護師の立場から保存的治療や外科的治療について言及していただきました。治療に関しては近年日本でも注目されているバイオフィードバック療法に関しても,とくに高齢者の排便障害にどう使うか,またその実際についても原稿をお願いしました。また,これらの排便障害に付随して問題になる高齢者特有のスキントラブルとスキンケアに関してもフォーカスを当てました。高齢者は身体的にも排便障害などの種々の障害を持つことが自然です。また経済的にも問題を抱えることも少なくありません。最後に,これらを支える福祉制度とその問題点についても現場の立場から原稿をお願いしました。
これらの原稿はそれぞれの分野でのパイオニア,トップランナーの先生方にお願いしました。明日からの診療の指針になれば幸いです。
前田耕太郎
藤田医科大学病院 国際医療センター 教授
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1. なぜ高齢者に排便障害は起こりやすいのか?/味村俊樹
2. 高齢者便秘の診断へのプロセス(医師の立場から)/高橋知子
3. 高齢者の便秘のアセスメント/大森鮎子
4. 高齢者における直腸糞便塞栓のアセスメント/吉田美香子
5. 高齢者における便失禁診断のプロセス/勝野秀稔
6. 高齢者の便失禁のアセスメント/積 美保子
7. 高齢者の便秘・便失禁の治療/幸田圭史,小杉千弘
8. 高齢者の便秘・便失禁のケア/西村かおる
9. 高齢者の排便機能障害に対するバイオフィードバック療法の意義と実際/磯上由美
10. 高齢者の排便障害に伴うスキンケア/平山千登勢
11. 高齢者の排便障害と福祉制度−現状と課題−/種子田美穂子
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