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WOC Nursing 20年2月号 |
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A4変型判 2020年2月発行
定価2,640円(本体2,400円+税10%) ISBNコード:978-4-287-73075-1
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特集●フットケアで下肢潰瘍を防ごう 〜糖尿病・透析患者における末梢動脈疾患〜
企画編集/ 大竹剛靖(湘南鎌倉総合病院 副院長,同院腎臓病総合医療センター 腎血管免疫内科 主任部長) |
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末梢動脈疾患(PAD)は人口高齢化や糖尿病患者・透析患者の増加に伴い,これからもますます増加すると予測されています。しかし,十分なフットケアや足病診断・治療がなされないままに足病が悪化し,下肢切断や死亡に至る患者がいまだ多数います。
糖尿病が下肢潰瘍発生のリスクとなることはよく知られていますが,糖尿病の有無にかかわらず,慢性腎臓病(CKD)を有すること自体もPAD発症の危険因子です。透析患者の下肢切断率は,2000年末には透析患者全体の1.6%でしたが,2014年末には3.9%(8634名)と増加しています。また,重症下肢虚血(CLI)から下肢の大切断に至ると生命予後はきわめて不良で,1年でおよそ40〜50%が死亡する報告もあります。透析患者では,高度な血管石灰化や,下腿以下の末梢病変や心脳血管障害の合併の多さ,微小循環障害などの特徴があり,狭窄閉塞病変局所での血行再建治療に難渋する場合も多くみられます。
PADでは,早期発見と重症化予防のための取り組み,フットケアが最も重要です。早期発見のためには,よく足を見ることと早期診断のためのスクリーニング検査を活用することが重要です。PAD早期には自覚症状を認めないことが多いため,これら客観的な評価法を行うことが大切です。PADと診断されフットケアを行う際には,「どんな病変ができたら」「何を」「どのように」「どれくらいの頻度」で行うかを体系的に明確にしておくことが必要です。日常生活の注意点にも踏み込んで指導することも重要です。
PADは単一の診療科で対応できるものではありません。病期や病変の程度によりさまざまな医療者の連携・協力を必要とします。血行再建治療,創傷治療,透析管理や糖尿病管理,栄養改善や感染対策,リハビリテーション,フットウェアなど集学的な治療を行える体制づくりが大切です。
年々増加する足病患者に統一して対応すべく,日本フットケア学会と日本下肢救済・足病学会が合併し,2019年7月に日本フットケア・足病医学会が新たに発足し,多くの医療者の方々が,足病に対するフットケア,予防,診断,治療に参画しています。
足を守ることは,患者の歩行を守り生命を守ることにつながります。すでにフットケアや足病の診断や治療に関わっている方々,これからフットケアや足病の診断・治療を始めようとする方々のいずれにも参考となるように,特集「フットケアで下肢潰瘍を防ごう〜糖尿病・透析患者における末梢動脈疾患〜」を企画しました。この特集を通じて,1人でも多くの医療者の方が足病,フットケアに興味を持っていただき,また,日々の足病診療の参考となることを期待しています。
大竹剛靖
湘南鎌倉総合病院 副院長,同院腎臓病総合医療センター 腎血管免疫内科 主任部長
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1. 足の解剖・血行支配
①皮膚と感覚/木村 中
②足の骨格と筋/大原邦仁
③足の血行支配と血流/宮下裕介
2. 足病変について/菊池 守
3. 糖尿病の足病変/富田益臣
4. 慢性腎臓病(透析患者)の足病変/本田謙次郎
5. 足病変評価に必要な検査/加賀谷範芳
6. 血行再建治療:血管内治療と外科的治療/東田隆治
7. 虚血性潰瘍の創傷治療の基本/田中里佳
8. LDLアフェレシス治療/佐藤元美
9. 高気圧酸素療法/種山かよ子
10. 予防のためのフットケア
①下肢潰瘍を予防するために必要な足のアセスメント/加納智美
②基本的なケアと教育支援/愛甲美穂
③フットウェア/名和大輔,大平吉夫
11. 運動・リハビリテーション/河辺信秀,渡部祥輝,中村壽志,山﨑尚樹
12. 病変進展防止のための栄養管理/伊藤典子
13. チームアプローチ/渡邊英孝,上村哲司
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