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WOC Nursing 20年4月号
A4変型判
2020年4月発行
定価2,640円(本体2,400円+税10%)
ISBNコード:978-4-287-73077-5
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特集在宅における褥瘡・創傷・スキンケアとチーム医療のポイント
企画編集/袋 秀平(ふくろ皮膚科クリニック 院長)
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 わが国の全人口に対する75歳以上の割合が18%を超える2025年まであと5年を切りました。医療政策が病院から在宅へとシフトしていくなか,褥瘡をはじめとする創傷や皮膚のトラブルに対する在宅ケアが問題になっています。日本褥瘡学会の調査によれば,2006年の在宅における褥瘡の有病率は8.32%と,病院や施設に比較して非常に高い数値を示していました。
 そんななか,2007(平成19)年,厚生労働省老人保健健康増進等事業として,日本褥瘡学会を中心として3つのプロジェクトが行われました。
①在宅における褥瘡有病率など,実態調査
 有病率7.2%,真皮を越える深い褥瘡40.9%
 危険因子は第1位が栄養状態の低下,次いで寝返り不能と病的骨突出
②在宅における褥瘡発生予防・悪化防止モデル
 皮膚科医の在宅褥瘡治療への介入
 皮膚・排泄ケア認定看護師の介入(退院後)
③在宅における褥瘡のケアガイドラインの作成
 在宅褥瘡予防・治療ガイドブックを2008年刊行
 ②の「皮膚科医の在宅褥瘡治療への介入」については,皮膚科医が往診して褥瘡治療にあたったほうが,そうでない場合に比較してDESIGNの点数低下が速く,患者家族の満足度が高いという結果が出て,皮膚科医(ひいては褥瘡に対する知識をもった医師)が介入することの意義を再確認しました。さらにこの年以降,各都道府県(北海道では4地区,合計50か所)で毎年在宅褥瘡セミナーを開催することとなりました。
 このような活動もあり,在宅での褥瘡治療・ケアは改善を続け,2016年のデータでは在宅の褥瘡有病率は2%を切るまでに低下しています。ただ,この調査結果は訪問看護ステーション利用者のデータです。調査結果に疑義をはさむつもりはなく在宅での状況が改善していることに疑いはないのですが,実際には訪問看護を導入していない例もあるため,在宅の状況を完全に把握するのは難しいのではないか,と個人的には考えています。
 病院での褥瘡対策チームは同じ職場のメンバーで意思疎通もしやすく,そもそも多職種がそろっているのが普通ですが,在宅ではいちいち必要な職種をさがしたり,連絡をとったりしなくてはならないので,「連携が必要」と長年叫ばれ,重要性は理解していても,なかなかうまくいっていないのが実情です。2014年の診療報酬改定で在宅患者訪問褥瘡管理指導料が創設され,管理栄養士の参画は評価されましたが,それ以外の職種についての評価は十分とはいえません。
 本特集号ではそんな在宅の褥瘡・創傷に関する特徴や,実際に行われているケアの実態,病院と在宅の連携,制度上の問題など,さまざまなポイントにスポットを当ててそれぞれのエキスパートの先生にお願いして執筆していただきました。
 また,近年開設が増加している高齢者施設においても,スタッフの知識や経験などに差があり,ケアの質を高めることが問題になっています。コラムという形にしましたが,考えてみたいと思います。

袋 秀平
ふくろ皮膚科クリニック 院長


1. 在宅における褥瘡発生の危険因子/倉繁祐太
2. 在宅における褥瘡治療の特徴/木下幹雄
3. 褥瘡管理における急性期病院と在宅との連携/印幡 香
4. 在宅褥瘡患者をケアするうえでの在宅療養支援病院の役割/鈴木勇三
5. 在宅褥瘡での保険薬局・薬剤師の役割〜多職種連携を中心に〜/舛甚路子
6. 訪問看護師からみた各種ケアとチーム医療について/後藤茂美
7. 在宅におけるスキンケア/丸山隆児
8. 在宅の栄養ケア〜「食」の視点から考える〜/髙﨑美幸
9. 在宅において褥瘡治療を行った場合の保険算定/服部尚子
10. 在宅患者訪問褥瘡管理指導料算定の実態と問題点/塚田邦夫
11. 在宅におけるフットケア/池永恵子
column 高齢者施設における褥瘡・創傷ケアの実態と問題点/袋 秀平