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WOC Nursing 20年8月号
A4変型判
2020年8月発行
定価2,640円(本体2,400円+税10%)
ISBNコード:978-4-287-73081-2
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特集泌尿器がんのストーマ造設・管理の実際
企画編集/武藤 智(順天堂大学大学院 医学研究科 泌尿器外科学 特任教授)
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 筋層浸潤性膀胱がんおよびBCG不応性筋層非浸潤性膀胱がんに対する標準治療は膀胱全摘除術です。膀胱がんは高齢者の頻度が高いことは従来より知られており,日本でも高齢化社会によって症例数は確実に増えています。膀胱全摘除術は決して侵襲が低いとはいえず,患者に対する負担を無視するわけにはいきません。できるだけ低侵襲で行うために,最近ではロボット支援膀胱全摘除術がglobalで徐々に症例数が増え,日本でも2018年4月に保険適用され,多くの施設で行われています。
 膀胱全摘除術に尿路変向術は必ず必要であることは言うまでもありません。現在では,新膀胱造設術,回腸導管造設術,尿管皮膚瘻造設術の3つの術式が標準的です。新膀胱造設術,回腸導管造設術では回腸を用いることが一般的です。腸管利用の尿路変向術には,それ以外に禁制型ストーマとしてコックパウチ,インディアナパウチ,マインツパウチがあり,以前は多くの症例に対して行われてきましたが,優位性に乏しく,現在ではきわめてまれでしょう。
 本特集では,回腸導管,尿管皮膚瘻のストーマ管理を中心に企画しました。いずれの尿路変向術も,まず作成を専門とする医師から手術について解説いただきます。ストーマ管理を行ううえで,どのような方法で作成しているかを理解することは重要です。次に管理についての実際をWOCナースの立場から解説いただきます。いずれも日本を代表するエキスパートの方々であり,多くの症例を長期間ケアしていただいています。本特集から,現在泌尿器がんのストーマを管理している多くの方に,豊富な経験をお示しすることができます。
 先述したように,ロボット支援手術が導入され,今までの開腹手術や腹腔鏡下手術と比べると患者の負担はかなり減少しました。今後も手術自体のさらなる進化が予想され,泌尿器がんに対する手術も例外ではありません。さらに尿路上皮がんに対しても新規の薬剤が登場しており,ストーマ造設後の患者でも,より長期の予後が期待できます。したがって,私たちが要求される泌尿器がんストーマ管理もこのような環境の変化に十分に対応することが求められており,WOCナースの皆さんのさらなる向上を希望しています。

武藤 智
順天堂大学大学院 医学研究科 泌尿器外科学 特任教授
1. 腹腔鏡下膀胱全摘術における体腔外回腸導管造設術/三木 淳
2. ロボット支援体腔内回腸導管造設術/武藤 智
3. 医師による回腸導管の管理/清水史孝
4. WOCナースによる回腸導管の管理/赤坂和美,吉田春子
5. ダブルストーマのケア/山口涼子
6. 尿管皮膚瘻造設術(開腹手術における)/井上高光,飯沼昌宏
7. ロボット支援体腔内尿管皮膚瘻造設術の経験/北村香介
8. WOCナースによる尿管皮膚瘻の管理/小山田幸枝