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WOC Nursing 20年12月号
A4変型判
2020年12月発行
定価2,640円(本体2,400円+税10%)
ISBNコード:978-4-287-73085-0
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特集足の外科領域の疾患とそのケア
企画編集/原口直樹(聖マリアンナ医科大学 横浜市西部病院 副院長/病院教授)
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 本誌を手にされている皆さんの中には,最近足の疾患に関する症例が増えているな,と感じている方も多いと思います。もちろん,足に疾患をもつ患者や足の外傷を受傷する患者の数そのものが増えているわけではありません。近年足関節・足部の疾患や外傷の病態解明が進み,それに基づいた外科的治療法が飛躍的に進歩したことがその背景にあると考えられます。これに伴って足の外科を専門とする医師の数が大変多くなりました。
 足の外科と一口に言っても,その対象とする疾患・外傷は無数といってよいほど存在し,各々の病態も,他の骨・関節疾患と比較して非常に複雑です。このことは,医師がこの分野をとっつきにくいと感じてきた1つの要因であり,これにかかわる看護師にとっても,病態と治療をしっかり理解したうえで看護することはハードルが高いものでした。
 本誌「WOC Nursing」で足の外科が特集された最大の理由は,足の疾患やその術後管理は創傷ケアと切っても切れない関係があるからです。足の疾患は多くの場合に変形を伴いますが,変形した足部に荷重や靴の刺激が加わると潰瘍や胼胝を形成し,ときには感染も合併します。変形や胼胝のある足で歩行することは,患者にとって大変な苦痛を伴いますし,足部にできた潰瘍はきわめて難治性です。また足部は骨と皮膚との間の軟部組織が少ないため,高エネルギー外傷による水疱形成や皮膚の壊死もまれではありません。さらには,手術後の創の治癒遷延や感染も他の部位の術後より高率に発生し,時として手術の目的である骨の癒合よりも,手術創の合併症に対する治療のほうが長引くことさえあります。
 本特集「足の外科領域の疾患とそのケア」では,各分野での新進気鋭の方々にご執筆賜りました。すべての章が図表を多用したわかりやすいものであり,この特集で1冊の教科書になるほど充実しています。足の解剖は,実践に即して詳細に書かれており,足の解剖書ともいえる内容です。また,足の外科の各疾患,外傷,すなわち,成人期扁平足,外反母趾,関節リウマチ,スポーツ障害,神経障害,変形性足関節症,足の外傷では,その病態から手術治療まで大変詳しく執筆していただき,私自身にとっても大変に勉強になりました。これに続く外来・病棟・手術室での足の外科看護の章では,そのケアに役立つ多くの知見と落とし穴がもれなく記載されています。足の外科のリハビリテーションの章では,なぜいま荷重をかけてはいけないのか,なぜその関節の動きを制限しなければならないのか,術後のある時期でどのようなリハビリテーションが有効なのか,が詳細に述べられています。足の装具の基礎知識では,その歴史から装具作成の実際まで,なかなか学ぶことができない大変興味深い内容をご執筆いただきました。ご執筆いただいた方々に,心より感謝申し上げます。
 本特集号を身近に置いていただき,対象の患者が来院するごとに参照していただければ,病態の深い理解に基づいたより実践的なケアが可能になると確信しています。

原口直樹
聖マリアンナ医科大学 横浜市西部病院 副院長/病院教授
1. 足の外科に必要な解剖の知識/尾関拓磨
2. 成人期扁平足/山田俊介
3. 外反母趾の病態と治療/太田光紀
4. 関節リウマチの足部・足関節障害/笠井太郎
5. 足のスポーツ障害/亀田 壮
6. 足の神経障害/熱田智範
7. 変形性足関節症/岡村 龍
8. 足の外傷/有山ゆり
9. 足の外科領域の看護−病棟と外来−/菅谷絵里奈,篠﨑絵美,斉藤寛之,地代所真弥
10. 足の外科領域の看護−手術室−/土屋大星
11. 足の外科領域のリハビリテーション/岩澤裕之
12. 足の装具の基礎知識/寺門厚彦